カナダ・バンクーバーに本拠を置く「Global Fashion Collective(GFC)」は、2026年3月5日(木)、フランス・パリのLa Maison des Métallosにて、コレクティブショーを実施しました。本ショーケースには、日本、アメリカ、カナダ、インド、中国など多様な国と地域から集まった8組の国際的デザイナーが参加。それぞれが独自のビジョンとクリエイティブを体現したランウェイを展開しました。 ■日本からは「july et nico」「CFT.」が参加 日本からは、着物を現代的に再解釈し文化的記憶を日常へと呼び戻すブランド「july et nico」、そしてブランドの10年の歩みを象徴するコレクションを発表した「CFT.」が参加。伝統と革新を横断する独自の視点から、国際的な観客へ向けて存在感のあるコレクションを披露しました。 july et nico 《着物をクローゼットから再び光のもとへ》 【july et nicoからのコメント】 ■今回のコレクション、ショーへの思い 今回のコレクション「草加譚 (そうかたん)― Botanical Stories」は、クローゼットに眠っていた着物に再び光を当て、現代の日常へとつなぐことを目的に制作しました。 着物に描かれた植物文様を“物語”として捉え、日本人が自然と共に生きてきた美意識や時間の重なりを、現代の感性で再構築しています。 着付け工程を簡素化し、スタイリングやレイヤードで提案することで、和装を特別なものではなく「着続けられる文化」として未来へ渡したい。 過去と現在、自然と人をつなぐ循環の中で、着物が再び息づく姿をショーとして表現しました。 ■今回のショーのこだわり 服だけでなく、空間全体で世界観を伝えることにこだわりました。 モデルの動きによって柄が開くように見える演出、オリジナルで製作した楽曲に風鈴や水音、鳥の声などを取り入れ、五感で自然を感じられる構成にしています。 また、年齢や性別を問わず楽しめるスタイリングを意識し、和装のハードルを下げることも大切にしました。 伝統を守るのではなく、暮らしの中で循環させる——july et nicoらしい和の在り方を示したショーです。 ■ご自身にとっての服飾・デザインのインスピレーションの源泉 私のインスピレーションの源は、日常の中にある自然や人の営み、そして日本の伝統文化です。 季節の移ろい、草花のかたち、音や香りといった感覚的な要素から着想を得ています。 また、役目を終えたように見える着物や布に宿る時間や記憶に向き合うことも、ものづくりの大きな原動力です。 新しいものを生み出すというより、「すでにある美しさをどう引き出すか」を常に考えています。 ■ショーを終えてのご感想 服だけでなく、音や空間を含めて世界観を共有できたことで、着物が「観るもの」ではなく「感じるもの」として伝えられたと感じています。 今回のショーでは、着物文化に馴染みのない海外の方々に多くご覧いただきました。そのため、和装に「洋」の要素をミックスしたコーディネートを取り入れ、民族服としてではなくファッションとして楽しめる提案を意識しました。その結果、海外の来場者の方々からも好意的に受け止めていただき、評価をいただけたことがとても印象に残っています。 また、通常は着付けに30分以上かかる着物を、今回のショーに向けて5〜10分で着られるよう工夫した点も大きな挑戦でした。 構造を見直し、着付け工程を簡素化することで、着物の美しさを保ちながら、現代のスピード感や実用性にも寄り添う形を実現しています。 来場者の方々がそれぞれの感覚や記憶と重ね合わせながらショーを受け取ってくださったことは、何より嬉しく、今後への大きな励みとなる経験でした。 ■今後に向けて 今後は、着物を感性や表現としてどう生かすかを軸に、一人ひとりの魅力を引き出すスタイリングの提案を続けていきたいと考えています。 着物そのものを販売するのではなく、その方のライフスタイルや世界観に寄り添い、装い全体としてどう成立させるかを大切にしていきたいです。 日常のスタイリングはもちろん、七五三、成人式、結婚式といった人生の節目となる晴れの日においても、形式にとらわれすぎず、その人らしさが自然に表れるコーディネートを支えていきたいと思っています。 また大きな夢としては、海外の方々やアーティストなど、さまざまな表現を持つ人たちのイメージに寄り添い、着物を取り入れたスタイリングを通じて新しいファッションの可能性を提案していくことです。 文化や国境を越えて、着物が自由な表現として広がっていく循環を生み出せるよう、これからも誠実に向き合い続けていきたいと思います。 july et nico 2012年、レディー