Surfsharkによる新たな調査では、2022年から2026年の間に実施された10件の独立したAI関連の法的執行措置を分析しています。内9件は同じ問題、すなわち「適切な同意や法的根拠なしに、個人データ、生体データ、または著作権で保護されたデータを使用してAIシステムを学習させたこと」に焦点を当てています。 グラフのダウンロードはこちら AI関連のペナルティは2022年、Clearview AIを対象とした3件の制裁金から始まりました。2023年には、AmazonがAlexaの学習に使用された子供の音声記録を保持していたとして制裁金を科されました。2024年には規制当局が動きを強め、GoogleやOpenAI、Meta、Clearview AIが関与する4つの独立したケースで措置が講じられました。この流れは2025年も続き、今回の調査対象データの中で最大となる、Anthropicによる15億ドル(約2,400億円)の和解に至っています。直近では2026年に、Appleが2億5,000万ドル(約400億円)で和解しました。この事案は、学習データではなく、AI機能の性能を実際以上に宣伝したことが問題視された唯一のケースです。 Surfsharkのリサーチ・リードであるルイス・コスタ博士(以下、同氏)は次のように述べています。 「巨額のAI関連制裁金の蓄積は、規制当局の対応が単なる警告の段階から、深刻な金銭的責任を問う段階へ移行していることを示しています。これまでの執行の多くは、同意のない学習データの利用を対象としていましたが、AppleがAI機能の性能を実際以上に宣伝したとして2億5,000万ドル(約400億円)で和解したことは、この分野の重要な変化を示すものです。 これは、まだ始まりにすぎない可能性があります。OpenAIのイタリアでの制裁金が取り消された事例に見られるように、裁判所の判断には依然として揺れがあります。それでも全体的な流れを見ると、イノベーションに対して説明責任が追いつきつつあることは明らかです。AI業界は、AIをどのように構築するのか、そしてそれをどのように訴求するのか、その両方を見直す必要があります」 Surfsharkの研究責任者、ルイス・コスタ博士 2022年以降、規制当局や裁判所は、AI関連の違反を理由に、大手テクノロジー企業7社に対して総額35億ドル超(約5,600億円超)の制裁金および和解金を科してきました。10件の事案のうち、海賊版書籍をAIの学習に使用したことをめぐるAnthropicの15億ドル(約2,400億円)の和解が単一の制裁として最大で、これに次ぐのが、同意なく顔認識の学習に使う目的で生体情報を収集したMetaの14億ドル(約2,240億円)の制裁です。この2件だけで、今回の調査対象データにおけるAI関連の制裁金・和解金全体の81%を占めています。 適切な同意や法的根拠のないAI学習データの利用が制裁の中心に Anthropic(15億ドル〈約2,400億円〉)、Google(2億9,100万ドル〈約466億円〉)、OpenAI(1,700万ドル〈約27億2,000万円〉※後に取り消し)は、著作権で保護されたコンテンツや個人データを、適切な許可を得ずにAIモデルの学習へ利用したことが問題視されました。 また、Meta(14億ドル〈約2,240億円〉)、Clearview AI(4件合計1億500万ドル〈約168億円〉)、Amazon(2,500万ドル〈約40億円〉)は、顔画像や音声データといった生体情報を収集し、AIシステムの学習に利用したことにより制裁を受けています。 一方、Appleによる2億5,000万ドル(約400億円)の和解は唯一の例外で、学習データの取得方法ではなく、AI機能の性能を実際以上に宣伝したことが問題となったケースです。 全ての制裁金が法的に維持されているわけではない OpenAIは、ChatGPTの学習に法的根拠なく個人データを利用したことや、透明性に関する要件を満たしていなかったことを理由に、2024年にイタリアの個人情報保護当局から1,700万ドル(約27億2,000万円)の制裁金を科されました。しかし、この処分は2026年にイタリアの裁判所によって取り消されています。 この事例は、AI規制を巡る法的な枠組みが依然として発展途上であり、規制当局が違反と判断した内容でも、最終的に裁判所で認められるとは限らないことを示しています。 一方、今回の分析で特に異例だったのがClearview AIです。同社は、欧州の規制当局から科された制裁金を一切支払っていません。 Clearview AIは、AI顔認識データベースを構築するために数十億枚の顔画像を無断で収集したとし