株式会社STYZ(本社:東京都渋谷区、代表取締役:田中辰也)が運営するインクルーシブデザインスタジオ「CULUMU(クルム)」は、AIを誰も取り残さない側に設計するための提言「AIりんりせんげん」を公開しました。 テクノロジーは、これまで人間の不条理な残酷さ——身体、言語、置かれている社会的立場や生活環境の違いに対応しない制度や設計条件によって、社会参加、情報へのアクセス、サービス利用、意思決定への関与などを妨げられてきた状況——を減らす力にもなってきました。AIも同じです。その恩恵が届く人と届かない人がいるとき、その差は多くの場合、AIではなく“設計の側”にあります。インクルーシブデザインが「障害は人ではなく社会の側にある」と問い直してきたのと同じ姿勢で、私たちはAIにより生じる偏りを“設計の問題”として問い直します。 本宣言は、一方的に正解を提示するものではありません。CULUMUの立場を起点として、つくる人・きめる人・つかう人、そしてAIの判断や運用によって影響を受ける人それぞれが自身の現場で継続して考えられるよう、「問い続けるための方法」を提示するものです。固定された結論ではなく、AIと社会の変化に合わせて更新し続ける「Living Declaration(生きた宣言)」として運用してまいります。 AIりんりせんげん 特設サイト ■なぜ、インクルーシブデザインスタジオがAIを語るのか CULUMUは「障害は人ではなく社会の側にある」という考え方(障害の社会モデル)のもと、高齢者・障害者(※)・外国人など多様な当事者と共創し、“設計の側”を変えることで“取り残し”を減らすため、設計の前提を見直す共創型のデザインに取り組んできました。 段差は、車いすの人の問題ではなく、段差をつくった設計の問題です。この視点は、AIにもそのまま当てはまります。AIの恩恵が届く人と届かない人がいるとき、その差は多くの場合、AIではなく“設計の側”にあるからです。私たちは、AIに対する不安を論じるのではなく、AIを“設計の問題”として問い直すことを目的に「AIりんりせんげん」を考案しました。これは、CULUMUが実践してきたインクルーシブデザインの対象をAIへと拡張したものです。 既存のAI倫理の多くは「リスク管理」「透明性」「公平性」を語る一方で、「誰が取り残されているか」を具体的に語るものは多くありません。抽象的な「多様性」ではなく、たとえば、ろう者、外国ルーツの子ども、少数言語を用いる人など、制度や設計上の障壁を経験しうる人々といった、顔の見える人々の視点からシステムを問い直す——その視座から、日本発の実践知として本宣言を公開します。 ※『当事者ではなく社会の側に整備されていない部分や理解が不足している面があり、そのために不利・不便な状態や不自由にあるのが「障害」である』という社会モデルの考え方から、この文章では「障害者」という記述で統一しています。 ■「AIりんりせんげん」の構成 ― 3つの層 本宣言は、つくる人・きめる人・つかう人、そしてAIの判断や運用によって影響を受ける人それぞれが自分の現場で問い直せるよう、次の3つの層からできています。 ① 姿勢(すべての人へ) AIと向き合うときに、少し立ち止まって考えるための8つの姿勢です。特定の正解を示すものではなく、つくる人・きめる人・つかう人、そしてAIの判断や運用によって影響を受ける人の誰もが、自分の現場で問い直すための出発点となります。 ② 問い(CULUMUの立場) その姿勢をふまえ、AIの性質から導いた、CULUMUが実務の中で大切にしたい8つの問いです。正解として掲げるのではなく、自らの設計と実践のなかで、決めきれなさを残しながら問い続けます。 ③ 根拠(事実) その問いのもとになる「AIの性質(15項目・4層)」と、1811年から現在までのAIをめぐる521件の出来事を「意味の近さ」と「時間」で配置した3D年表です。 本宣言は、世界中の有識者の声、過去に現実に起きたAIインシデント、そして世界の主要な指針を集約したリサーチに基づいて構築しています。動的なHTMLにより、AIの発展や社会の変化に合わせて随時更新できる「Living Declaration」として設計しました。 ■ ① AIと向き合うための「8つの姿勢」 自分自身の想い、感覚を大切にしてみる。 目の前の相手を大切にしてみる。 社会全体のことを大切にしてみる。 物事の仕組みを考えてみる。 何が正しいのか、悩み続けてみる。 自分自身で調べよう。ファクトチェックしてみる。 責任を持ってみる。 それでもつくり続けてみる。 ■ ② CULUMUが実務の中で大切にしたい8つの問い AIを使うとき、どんな人や状況が想定から抜