日本製鉄定時株主総会2026会場付近での、九十九里の海をまもる会、FoE Japan、スティールウォッチによる共同アクション(撮影:Greg McNevin / スティールウォッチ) (東京、2026年6月23日)日本製鉄は本日開催の第102回定時株主総会において、石炭高炉への依存を続け、将来的な経済リスクを抱える同社の脱炭素戦略に対し、地域住民や環境団体から厳しい批判を受けた。 スティールウォッチ、FoE Japan、地元団体「九十九里の海をまもる会」は、株主総会に出席した日本製鉄の経営陣および株主に対し、1年前のUSスチール買収以来拡大する同社の脱炭素への責任を訴えた[1] 。 日本製鉄は脱炭素化に向け「複線的アプローチ」を掲げるも、米国ゲーリー製鉄所では地元住民が長らく健康被害に苦しんでいるにもかかわらず、低排出な鉄鋼生産への投資ではなく石炭高炉の延命を選択。千葉の九十九里浜では、環境影響評価や地域社会の十分な合意なしに、炭素回収・貯留(CCS)事業を進めている[2]。 株主総会の会場内では、株主から経営陣に対し、CCSに関する環境影響評価の欠如や九十九里浜、地域社会への影響について質問が上がった。これに対し、日本製鉄の今井正COOは、Super COURSE50を実装させるために石炭高炉への水素吹込み技術においてCCSが必要であることを説明するにとどまり、CCS事業そのものを見直す考えは示されなかった。 株主総会に出席したスティールウォッチのキャンペーン担当、石井三紀子氏は次のように述べている。 「日本製鉄の気候変動対策は、国内にとどまらず、米国事業への展開も予想されているが、その中心となる技術は大幅な排出削減につながるものではなく、石炭依存の長期化を引き起こすものである。CCSに過度に依存し、期待どおりの排出削減が実現しなかった場合、同社の気候対策は次の打ち手を欠いたまま行き詰まってしまう。将来的に座礁資産化し得る事業は、地域社会に環境・気候・社会的な損害をもたらしかねない。そうした事業に日本製鉄が多額の資金を投じ続けていることに、投資家はより強い危機感を持つべきだ」 オーストラリア企業責任センター(ACCR)の主任研究員、ディミトリ・ラフレー氏は次のように述べている[3]。 「鉄鋼分野におけるCCSは、商業規模でその有効性が実証されておらず、複雑で高コストな技術である。日本国内のCO2貯留能力が限定的であるにとされる中、海外への輸送・貯留となれば、さらなる法的・制度的課題が生じる。鉄鋼業界における現実的かつ実効性のある気候変動対策は、石炭高炉ではなく、既存の低排出・ゼロエミッション技術への投資に注力するとともに、その導入を後押しする政策環境の整備を進めることである」 本日の株主総会(東京都千代田区)における活動写真はこちら:https://shorturl.at/OYpZO 以上 注 スティールウォッチ「大いなる事業拡大には大いなる責任が伴う:日本製鉄 気候変動対策の検証2026」https://steelwatch.org/reports/nippon-steel-corporate-climate-assessment-2026/?lang=ja FoE Japan「CCS事業法案の概要と問題点」https://foejapan.org/issue/20240329/16783/ ディミトリ・ラフレー氏(博士)は、10年以上にわたり石油・ガス業界で地球科学者として活動し、そのキャリアの大半をシェル社で過ごした。北海のガス事業や、オーストラリア沖のLNG事業(西オーストラリア州のゴーゴンCCS事業を含む)に携わった経験をもつ。 スティールウォッチ「日本製鉄、USスチール社の高炉改修は健康・気候への影響を長期化」https://steelwatch.org/press-releases/ns-garyworks-relining/?lang=ja 地域住民のインタビュー映像を含む特設ページ「石炭優先の犠牲を払う人々」:https://steelwatch.org/stories/nippon-steel-puts-coal-first/?lang=ja 九十九里の海をまもる会ウェブサイト:https://www.kujukuriseasideccs.net/ 日本製鉄株主総会に先立ち開催されたオンライン記者会見では、インディアナ州ゲーリー製鉄所周辺の地域住民が日本製鉄に対し、ゲーリー製鉄所の低排出技術への投資を求めた。 Gary Advocates for Responsible Development(GARD)理事、クワベナ・ラスリ氏: 「USスチールのCEOは鉄鋼業界の未来はアーカンソー州にあると語る。クリー