一般社団法人不動産テック協会(代表理事:滝沢潔、巻口成憲)は2026年6月23日、世田谷区によるワンルームマンション管理基準の見直しを「人手不足・管理費高騰時代における先進的な規制見直し」として高く評価し、世田谷区へ感謝状を贈呈いたしました。 世田谷区は条例・規則の改正において、従来求めていた管理人の「週4日以上・日中2時間以上」の駐在要件を廃止しました。当協会では、社会環境や管理手法の変化を踏まえ、制度の目的に立ち返った柔軟な見直しが全国の自治体のモデルケースになると確信しています。 感謝状贈呈の様子(左:世田谷区都市整備政策部長 佐藤絵里氏 右:不動産テック協会代表理事 滝沢潔氏) 管理人配置要件の見直しが求められる背景 マンション管理業界では、管理員の高齢化や人材不足が進み、人件費上昇による管理費の増加が課題となっています。一方で、コールセンターや遠隔管理、機械警備、スマートロックなどの技術活用が進み、従来の常駐管理を前提とした制度との乖離も指摘されています。 世田谷区が具体的に行ったこと これにより、従来の常駐管理だけでなく、各マンションの実態に応じた多様な運用が可能となりました。 意見交換会を実施 感謝状贈呈式当日に、世田谷区担当者・報道関係者・不動産テック協会による意見交換会を実施しました。昨今の建築費高騰に伴う「修繕積立金不足」という国全体の大きな課題に対し、日常の管理コストをいかに効率化し、マンションの資産価値維持に予算を回していくかという本質的な議論が行われました。 テクノロジーを活用した役割分担が可能になる 管理人が常駐していなくても、通信で操作できるスマートロックを活用することで、権限を持った外部の清掃業者やゴミ出し業者が一時的に入館し、効率的に業務をワークシェアリングできる仕組みが紹介されました。これまでは「時間内の常駐」ルールに縛られ、こうした新しい効率化ツールへの予算を割けないという悪循環がありましたが、緩和によりその第一歩が踏み出せると発言がありました。 「DX=コスト削減」ではない、重要なのは「民意による選択肢」 DXは万能ではないが、管理組合に選択肢が与えられていないことが最大の問題と言及がありました。一律のルールに縛られるのではなく、各マンションの組合が「人は4時間に絞り、残りはタブレットや24時間対応のコールセンターで補完する」といった代替案を、コンプライアンス違反にならずに主体的に比較検討・選択できる環境を作ることこそが、今回の緩和の最大の意義であると共有されました。 意見交換会の様子 世田谷区都市整備政策部長 佐藤絵里氏 コメント ワンルームマンションにおける管理人配置や管理施設に関する規定は、ごみ管理や清掃、居住者からの問い合わせ対応など、適切な管理機能を確保することを目的として設けてきました。 近年はICTの進展や管理手法の多様化により、必ずしも管理人が一定時間常駐しなくても管理機能を確保できる環境が整いつつあります。 今回の見直しは、管理の質を下げることを目的としたものではなく、管理の実態に即した制度とするために実施したものです。 今後も社会環境の変化を踏まえながら、良好な住環境の確保に取り組んでまいります。 不動産テック協会 代表理事 滝沢潔氏 コメント マンション管理業界では、人材確保の難しさや管理費の上昇が大きな課題となっています。 そのような中で重要なのは、管理の品質を維持しながら、それぞれのマンションに適した運営方法を選択できる環境を整えることです。 世田谷区の取り組みは、従来の常駐運用を一律に義務付けるのではなく、制度の目的と現場の実態を踏まえて見直しを行い、住民に『合法的な選択肢』を渡した点に大きな意義があります。もし5年後にデジタルツールや新しい運用が合わないと分かれば、また人に戻せばいい。大切なのは硬直化せず、状況に応じて見直しができることです。 この世田谷区の先進的な動きが他の23区や全国の自治体へと広がり、持続可能なマンション管理のあり方を考える契機となることを期待しています。 【 法人概要 】 団体 :一般社団法人不動産テック協会 代表理事 :滝沢潔、巻口成憲 URL :https://retechjapan.org/ 本社 : 東京都渋谷区道玄坂1丁目10番8号渋谷道玄坂東急ビル2F−C 設立 :2018年9月 活動内容 : ・不動産テック(不動産×IT)業務に関する調査研究及び情報発信 ・不動産テック(不動産×IT)業務の標準化及びルールの確立 ・不動産テック(不動産×IT)従事者等の育成・指導 ・ビジネス機会創出のための各種活動 ・国内外の関連諸団体等との情報交換や連携・協力のための活動とイベント開催 ・国及び地方公共団体等に対する協力並びに建議及び