三菱電機株式会社 国立大学法人京都大学 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所 プラズマ計測システムの構成 三菱電機株式会社(以下、三菱電機)、国立大学法人京都大学(以下、京都大学)エネルギー理工学研究所および大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所(以下、核融合科学研究所)は、プラズマの状態を長時間にわたり多点同時に計測できる世界最高水準(※1)のフュージョンエネルギー(※2)向けマイクロ波プラズマ計測システムを構築しました。また、京都大学が保有する核融合実験装置「Heliotron J(※3)」において、本システムの実証に成功しました。 三菱電機、京都大学および核融合科学研究所は、フュージョンエネルギーの社会実装に不可欠なプラズマ計測技術の開発を推進します。 フュージョンエネルギーは、脱炭素社会の実現に向けた次世代エネルギー源として期待されており、日本政府は「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略(※4)」や関連施策を通じて、2030年代の発電実証を見据えた研究開発や産学官連携を後押ししています。フュージョンエネルギーの社会実装に向けては、一億度以上の核融合プラズマを制御するために不可欠なプラズマ状態をリアルタイムに把握できる信頼性の高い計測技術の確立が求められており、その一つとして、マイクロ波計測技術が有望視されています。マイクロ波計測技術は、中性子の照射で機器が損傷しやすい核融合炉内でも、重要機器をプラズマから離して設置できる点が特長で、三菱電機、京都大学および核融合科学研究所は、2025年からフュージョンエネルギー向けのマイクロ波計測技術の高度化と装置実装に共同で取り組んできました。 本システムは、複数の周波数成分を同時に含む周波数コム(※5)のマイクロ波を用いることで、プラズマ中の複数の測定点に対応する反射信号を同時に取得できます。さらに、高周波の信号処理にかかる負荷を軽減できるデュアルコムダウンコンバート方式(※6)を受信システムに採用したことで、放電全体にわたる長時間計測を可能としました。これにより、長時間にわたり最大34点(※7)の多点同時計測が可能な世界最高水準の性能を実現し、「Heliotron J」での実証に成功しました。 本開発成果は、6月29日から7月3日まで英国で開催中の国際会議「EPS Plasma Physics Conference 2026(※8)」で発表されました。 ■開発の特長 1.長時間にわたり最大34点の同時計測が可能な、世界最高水準の計測性能を実現 ・プラズマ中にマイクロ波を入射すると、周波数に応じたプラズマの電子密度(カットオフ密度(※9))でマイクロ波が散乱・反射。反射したマイクロ波には、反射層の回転速度に応じて、ドップラー効果(※10)による周波数の変化が発生。周波数コムのマイクロ波を用いることで、周波数変化の多点同時計測が可能 ・本計測システムでは、34本の櫛を持つ周波数コムを用いることで、最大34点の同時計測が可能 ・受信システムにデュアルコムダウンコンバート方式を採用し、長時間計測を実現 マイクロ波反射計の計測原理 2.一体的なプラズマ計測システムを構築し、「Heliotron J」で実証 ・周波数コムのマイクロ波の発信装置から送受信系までを統合したプラズマ計測システムを開発し、核融合プラズマ実験装置「Heliotron J」に構築 ・実際に計測した結果、プラズマの状態変化に応じた最大34点の周波数変化の長時間計測に成功 Heliotron Jに構築した計測装置 時間経過に伴うプラズマ中の周波数変化の多点計測結果 34本の周波数成分(縦軸)と、各周波数成分で観測された時間変化(横軸)。赤色は周波数が入射周波数に対して正の方向、青色は入射周波数に対して負の方向に変化したことを示す。 ■役割分担 組織名称 担当内容 三菱電機 マイクロ波発信・受信装置開発、「Heliotron J」への計測装置構築 京都大学 高密度プラズマの生成、プラズマ物理現象の解明 核融合科学研究所 デュアルコムダウンコンバート手法の開発、プラズマ物理現象の解明 ■今後の予定・将来展望 今後、周波数コムのマイクロ波を用いた制御技術の高度化を実現し、さらに詳細なプラズマ計測システムの構築を目指します。また、2030年代の発電実証を視野に入れ、商用炉への採用などを見据えた、耐環境性能に優れるシステム構築の検討も進めます。 ■京都大学について 京都大学は日本国内及びアジア圏において最も歴史ある研究機関の一つであり、1897年の創立以来、ノーベル賞やその他の国際的に優れた賞の受賞者を数多く輩出しています。人文社会の分野から自然科学の分野まで、幅広いカリキュラムを学部生と大