【調査概要】 調査期間:2024年1月~2026年6月(24日現在) 調査機関:マンションリサーチ株式会社 調査対象:大阪市内の中古マンション サンプル事例数:50,435事例 調査方法:公開されている中古マンションの売出情報を収集し、統計処理を施して集計しました。 大阪市のマンション市場を正しく把握するために 大阪市のマンション市場を分析する際、市全体をひとまとめにして評価してしまうと、実際に起こっている市場変化を見誤る可能性があります。 現在の大阪市では、東京都と同様にエリアごとの価格帯や購入層、需要構造の違いが大きくなっており、「大阪市全体」という視点だけでは実態を十分に捉えることができません。 そこで本分析では、大阪市の中心部であり価格上昇が著しい都心6区(北区・中央区・西区・天王寺区・浪速区・福島区)と、それ以外の18区を分けて市場動向を確認しました。 この区分は単なる行政区分ではありません。都心6区はオフィス、商業、再開発、インバウンド需要、投資マネー流入の影響を大きく受けるエリアであり、その他18区は比較的実需中心のマーケットとして機能しています。 つまり、大阪市のマンション市場は既に「一つの市場」ではなく、異なる性格を持つ複数の市場が共存している状態にあるのです。 都心6区で進む「売れる価格」と「売りたい価格」の乖離 まず大阪市都心6区における「販売日数」と「値下げ回数」の推移を確認すると、2026年以降、興味深い変化が見えてきます。 出典:福嶋総研 販売日数と値下げ回数は急激な増加を示しています。この二つの指標を組み合わせて見ると、「値下げをしても、なかなか売れない」という状況が浮かび上がります。 言い換えれば、市場参加者が想定している価格と、実際に購入者が受け入れられる価格との間にギャップが生じ始めているということです。 東京都心部では2024年後半以降、この傾向がより顕著に現れましたが、大阪市都心6区においても同様の現象が確認され始めています。もちろん東京都心のような急激な調整局面に入っているわけではありません。しかし消費者サイドから見れば、「欲しいが手が届かない」「価格に対して割高感がある」と感じる水準まで価格が上昇していることを示唆しています。 特に価格帯の高い物件や投資色の強いマンションでは、この傾向がより顕著に現れています。 高価格帯マンションで進む在庫の積み上がり その傾向をさらに明確に示しているのが、高価格帯マンションの在庫推移です。以下の地図では、売出価格平均6,000万円以上のシンボリックなマンションについて、マンション単位で在庫動向を可視化しています。 出典:Google mapを福嶋総研が加工 赤プロット:在庫減少傾向(流動性が高い) 黄プロット:在庫横ばい(流動性は標準的) 青プロット:在庫増加傾向(流動性が低下) 結果を見ると、大阪市都心6区には青色のプロットが数多く点在していることが分かります。これは売却希望者が増加している一方で、それを吸収するだけの購入需要が追いついていないことを意味しています。 特に高額帯マンションでは、購入可能な層が限定されるため、価格上昇局面では市場が成立していたとしても、一定の価格水準を超えると急激に流動性が低下する傾向があります。価格が上昇している間は「まだ上がる」という期待が市場を支えますが、その期待が弱まった瞬間、購入検討者は慎重になり、売却希望者だけが増えていく構造に変化します。現在の大阪市都心6区では、まさにその転換点が訪れ始めている可能性があります。 東京都心と共通する「投資マネー主導型市場」 大阪市都心6区において在庫が増加している背景には、東京都心と非常によく似た市場構造があります。それは、実需と投資需要が混在しているという点です。これらのエリアでは、自宅として購入する実需層だけでなく、国内投資家、海外投資家、法人購入、セカンドハウス需要など、多様なプレイヤーが市場に参加しています。 特に近年は大阪・関西万博への期待や大規模再開発、インバウンド需要の回復などを背景に、大阪市都心部への投資資金流入が加速しました。その結果、一部の人気マンションでは実需の購買力を大きく上回る価格形成が進み、短期間で大幅な価格上昇を記録することとなりました。価格上昇そのものは必ずしも悪いことではありません。しかし価格上昇の主因が居住需要ではなく投資需要である場合、市場環境の変化によって需給バランスが崩れやすくなるという特徴があります。 新築短期転売比率の急増が示す市場変化 こうした市場構造の変化は、新築マンションの短期転売比率にも明確に表れています。以下のグラフは、竣工後1年以内に新規売出されたマンションの割合を示しています。 出典:福嶋総研 データを見ると、