株式会社Kids Public(本社:東京都千代田区、代表取締役:橋本直也)は、日本医科大学付属病院産婦人科との共同研究において、当社が提供する「産婦人科・小児科オンライン」へ2021年4月からの4年間で寄せられた約17万件の相談データを後方視的に分析し、産前産後の妊産婦における「ハイリスク状態にある相談者」および「自治体への情報連携」の実態調査を実施しました。 分析の結果、全利用者の約1%に周産期うつや虐待の疑いなど、自治体連携を要するハイリスクな兆候が確認されました。また、実際に自治体へ連携した事例のうち、自治体による事前介入が行われていたのは3割に留まりました。これは、オンライン相談が行政の届きにくい「隠れたSOS」を検知する重要なセーフティーネットとして機能していることを示唆しています。 本研究成果は、2026年5月17日に開催された「第78回日本産科婦人科学会学術講演会」にて、産婦人科オンライン代表の重見より発表されました。国内最大規模のリアルワールドデータを用いた本報告は、オンライン並走型支援が産後6ヶ月以降の「孤立育児」や「隠れハイリスク層」の早期発見に有効であり、周産期うつ病や乳幼児虐待の予防に寄与する可能性を示したものになります。 ◼︎背景と社会的ニーズ 近年、核家族化の進行や地域コミュニティのつながりの希薄化により、身近に頼れる人がおらず、一人で不安や負担を抱え込む妊産婦が増加しています。しかしながら、何らかの事情で妊娠しても受診しない・できない人がいることや、出産後の母体健診は産後1ヶ月で終了となり自治体の専門職によるフォローが届かないケースがあることなど、様々な課題が浮き彫りになっています。それに伴い、産後うつ病や乳幼児虐待の件数増加も社会問題化しており、妊産婦の心身の健康を守るための産前産後の切れ目ないフォロー体制の構築は急務とされています。 こうした中、スマートフォン等から手軽に専門家にアクセスできる「オンライン健康医療相談(遠隔健康医療相談)」は、新たなセーフティーネットとして普及しつつあります。しかしながら、実際のオンライン相談においてどの程度「ハイリスク状態にある相談者」が存在しているのか、また、オンライン健康医療相談から地域の自治体・行政へとどのようにつながり、連携が行われているのかという具体的な実態やデータは、国内においてこれまでほとんど明らかにされていませんでした。 ◼︎本研究の成果と新規性・独創性 本研究では、2021年4月から2025年3月までの4年間に「産婦人科・小児科オンライン」に寄せられた176,966件(相談利用者数37,722名)の相談記録を後方視的に分析しました。 【主な調査結果のハイライト】 ◯ 約1%の相談者が、自治体連携の検討を要するハイリスク状態 自治体連携を検討したハイリスク状態の妊産婦:331名(0.88%) 実際に自治体への連携を実施した妊産婦:99名(0.26%) これらの数値は一見するとわずかに感じられるかもしれませんが、実際には表面化しにくいハイリスク層をオンライン相談が一定の割合で確実に捉えていることを物語っており、産前・産後の深刻な不安や心身の不調を抱える方のSOSを、オンライン相談という接点を通じてしっかりと救い上げることができた成果であると言えます。 ◯ 連携検討者の8割以上が「産後」であり、主要因はメンタルヘルス不調 自治体への連携検討者のうち、16%が妊娠中、84%が産後でした。 連携を検討した理由としては「保護者のメンタルヘルス不調」が大多数を占めました。また、自治体連携検討の対象となった方の約4割に「周産期うつ病」の疑いがあり、約1割には「乳幼児虐待」の懸念がありました。 特筆すべき点として、自治体への連携事例のうち、半数近くが産後6ヶ月以降に発生していたことも挙げられます。 ◯ 発見の契機は「助産師への相談」が最多 自治体連携を要した相談者のうち、約7割は助産師への相談が契機になっていました。メンタル不調や育児不安などは、医師よりも助産師の方が相談しやすいという可能性が示唆されました。 ◯ 自治体へ連携したハイリスク事例の7割が「行政による積極介入がなされていない」状態 実際に自治体へ連携した事例のうち、事前に自治体による介入が行われていたケースは3割に留まりました。7割の事例は自治体が把握しきれていなかった、あるいは積極介入がなかった妊産婦であり、自治体職員が把握できていなかった住民のSOSを早期にとらえるという重要な役割をオンライン健康医療相談が果たしていました。(連携を実施したケースには、法令に則った児童相談所への通知・連携も含まれます) ◯ 対面とオンラインによる並走型支援の有効性 自治体へ連携し、地域での対面支援に繋げた後も