出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:酒井則明、以下「当社」)は、出光 CVC(※1)を通じて、WAE(排水アルカリ度増強)(※2)によるカーボンクレジットを世界で初めて(※3)創出したCREW Carbon(本社:米国、Co-founder/CEO:Dr. Joachim Katchinoff、以下「CREW社」)に出資しました。CREW社は、排水処理設備をターゲットとしたCO2除去(CDR※4)に取り組むスタートアップです。当社はCDRビジネスのノウハウや技術的な知見を獲得するとともに、将来的な日本国内への導入や世界各国への展開も視野に入れ、本ビジネスの実現性および事業性についてCREW社と共に検討します。 ※1 出光 CVC(Idemitsu Corporate Venture Capital):カーボンニュートラル・循環型社会の実現に貢献するため「低炭素 エネルギー」や「先進マテリアル」分野の「革新的な新技術」に戦略的な投資を行う組織。 ※2 WAE:Wastewater Alkalinity Enhancement(排水アルカリ度増強)。下水などの排水に溶け込んでいるCO2を石灰石な どの自然界に存在するアルカリ性鉱物によって固定化し、最終的に海洋へ放流することで、大気中のCO2除去に貢献するC DRの手法。 ※3 米国のカーボンクレジット認証機関であるIsometric社が、CREW社のWAEによるCDR技術に対し、世界で初めてカーボン クレジットを発行:World’s first Wastewater Alkalinity Enhancement credits/Issued for CREW Carbon, delivered t o Frontier, certified by Isometric(2025年5月1日) ※4 CDR:Carbon Dioxide Removalの略。大気中のCO2を除去すること。 2050年のカーボンニュートラル達成には、事業活動に伴うCO2排出量の削減に加えて、大気中に存在するCO₂を確実に除去する CDR の社会実装が不可欠です。また、CDRによるカーボンクレジット創出の需要が増加するなか、CO₂の除去量を正確に測定し、データの透明性を担保する基盤となるMRV(測定・報告・検証)(※5)の高度化が求められています。 当社は、ネガティブエミッション(※6)分野での事業開発を推進しています。その一環として、CDRやMRVに関して高度な知見や実績を有するスタートアップへ戦略的な投資を行い、日本を含めたさまざまな国・地域における実現性・事業性の検討を行っています。 このたび出資したCREW社は、CDRの手法の一つであるWAEで世界初となるカーボンクレジットを創出した、同分野のリーディングカンパニーです。下水処理場などの排水処理設備を主なターゲットとしたCDRソリューションを提供し、独自のMRVを通じた高品質なカーボンクレジットの創出・販売を行っています。具体的には、以下の特長を有するビジネスモデルの商業化を米国において実現しています。 ■CREW社のCDRビジネスの特長 ・排水に含まれる有機物は、微生物によって分解される際にCO2を発生させます。そのCO2を排水処理設備においてアルカリ物質(CaCO3:炭酸カルシウム)と反応させ、回収する技術を採用しています。回収されたCO2は、HCO3−(重炭酸イオン)として河川に放流され、最終的に海へ運ばれ、数千年以上にわたって安定的に固定化されます。 ・必要な追加設備は炭酸カルシウムの貯蔵・注入設備とモニタリング設備のみとなり、大規模な設備導入は不要です。また、一般的に排水処理設備で使用されるpH調整剤を、コスト競争力に優れる石灰石に置き換えます。これらにより、低コストでのCDRが実現可能となります。 ・排水処理設備で回収した CO2量を、モニタリング設備で測定します。また、河川に放流された HCO3−のトラッキングモデルも開発しています。正味CO2削減量(放流後のHCO3−からのCO2放出も加味した量)の正確な算出を実現する独自のMRV を構築し、認証機関からの認証を得たカーボンクレジットを創出しています。 日本は世界で有数の石灰石の生産地であり、CREW社のCDRソリューションで必要な炭酸カルシウムを安定的に調達しやすい環境にあります。国産資源を活用したCDRの展開が期待されるなか、当社と CREW社は、同ソリューションの将来的な日本国内への導入も視野に入れ、ビジネスモデルの検討を進めます。 CREW社のCDR関連設備 当社は、今後もスタートアップとの連携を強化し、革新的な技術やアイデアを取り込みながら、新たな価値創出