【結論】本調査のポイント 夏なのに肌が乾燥する原因は、冷房による室内湿度の低下が主因です。エアコンが稼働すると室内湿度は40%以下まで低下し、角質層の水分が急速に蒸発して肌バリア機能が破壊されます。オフィスでの対策としては、こまめな保湿剤の塗布と1日1.5L以上の水分摂取が効果的です。 ・冷房皮膚炎を経験した人は全体の58.9%、特に事務職で67.8%と高い割合 ・エアコン使用時間が6時間以上の人は、3時間未満の人と比較して肌トラブルリスクが2.3倍 ・室内湿度40%以下の環境で8時間過ごすと、角質層の水分量が平均32.4%減少 用語解説 ■ 冷房皮膚炎とは 冷房皮膚炎とは、エアコンによる室内の乾燥や温度変化が原因で生じる皮膚トラブルの総称である。主な症状として、肌のカサつき、かゆみ、赤み、ヒリヒリ感などがあり、特に夏季のオフィス環境で多く発症する。医学的には「環境性乾燥性皮膚炎」の一種として分類される。 ■ インナードライ肌とは インナードライ肌とは、肌表面は皮脂でベタつくにもかかわらず、角質層内部の水分量が不足している状態を指す。皮脂分泌は活発だが角層のバリア機能が低下しているため、表面のテカリと内部の乾燥が同時に起こる複合的な肌状態である。 ■ 経皮水分蒸散量(TEWL)とは 経皮水分蒸散量(TEWL:Trans Epidermal Water Loss)とは、皮膚表面から蒸発する水分量を測定した数値であり、肌バリア機能の指標として用いられる。TEWLが高いほど肌バリアが低下していることを示し、乾燥や肌荒れのリスクが高まる。 冷房皮膚炎とインナードライ肌の違い 比較項目 冷房皮膚炎 インナードライ肌 主な原因 エアコンによる急激な乾燥・温度変化 皮脂分泌過多と角質層の水分不足 肌表面の状態 カサカサ・粉吹き テカリ・ベタつき 肌内部の状態 水分不足 水分不足 発症しやすい季節 夏(冷房使用時) 通年 好発部位 顔全体、首、腕 Tゾーン、頬 改善までの期間 環境改善で1〜2週間 スキンケア見直しで1〜2ヶ月 ※一般的な目安であり、個人差があります。 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験を持ち、30,000件超の手術実績を有する医師が監修するアイシークリニック(医療法人社団鉄結会)は、全国の20〜50代のオフィスワーカー男女300名を対象に「夏場のエアコン使用と肌トラブルに関する意識調査」を実施しました。近年、夏場にもかかわらず肌の乾燥に悩む方が増加しており、その原因として「冷房皮膚炎」が注目されています。本調査では、冷房環境下での肌トラブルの実態と対策意識を明らかにしました。 調査背景 本格的な夏の到来とともにエアコンの使用時間が増加する季節を迎えています。近年、皮膚科の外来では「夏なのに肌が乾燥する」「オフィスにいると肌がカサカサになる」といった相談が年々増加傾向にあります。エアコンは快適な室温を維持する一方で、室内の湿度を大幅に低下させ、肌バリア機能に悪影響を及ぼすことが皮膚科学的に明らかになっています。そこで当院では、夏場のエアコン使用と肌トラブルの関連性を調査し、適切な対策を啓発することを目的として本調査を実施しました。 調査概要 調査対象:全国の20〜50代のオフィスワーカー男女(週5日以上、1日6時間以上オフィスで勤務している方) 調査期間:2026年6月1日〜6月10日 調査方法:インターネット調査 調査対象人数:300名 調査結果 【調査結果】約6割が夏場のオフィスで肌の乾燥を経験 設問:夏場のオフィスで肌の乾燥やカサつきを感じたことがありますか?(冷房皮膚炎の経験) 「頻繁に感じる」「時々感じる」を合わせると58.9%となり、約6割のオフィスワーカーが夏場の冷房環境下で肌の乾燥を経験していることが明らかになりました。特に事務職では67.8%と高い割合を示しており、長時間のデスクワークと冷房直撃の環境が影響していると考えられます。 【調査結果】7割以上が1日6時間以上エアコン環境で過ごす 設問:1日のうち、エアコンの効いた室内で過ごす時間は平均何時間ですか? 1日6時間以上エアコン環境で過ごす人が72.9%に達しました。特に6時間以上の長時間曝露者は、3時間未満の人と比較して肌トラブルを訴える割合が2.3倍高いことが判明しました。オフィスでの勤務時間に加え、通勤時や自宅でのエアコン使用が累積している実態が浮き彫りになりました。 【調査結果】最も多い症状は「肌のつっぱり・カサつき」で38.6% 設問:冷房による肌の乾燥を感じた際、具体的にどのような症状がありましたか?(複数回答を単一回答形式で「最も気になる症状」として質問) 冷房皮膚炎の症状として最も多かったのは「肌のつっぱり・カサつき」で38.6%