鍛造トレイづくりの様子 島根県の玉造温泉に佇む全室露天風呂付き客室の温泉旅館「界 玉造」では、2026年4月1日~2026年6月25日、2026年9月2日~11月26日の期間で、出雲千年の歴史を知る、手業のひととき「神聖な鍛冶場で打つ、一生ものの鍛造(たんぞう)トレイづくり体験」を開催します。出雲地域の繁栄を支えた「たたら製鉄」をテーマに、江戸時代から続く鍛冶の技を継承する「鍛冶工房 弘光」を訪ねます。神聖な鍛冶場での「鍛造体験」や鍛冶職人との対話を通じて、神話の時代から現代のライフスタイルへと受け継がれる文化を感じることができます。また体験後、界 玉造での滞在を通して、八岐大蛇伝説のルーツをたどり、日本刀の技術を現代へ続いてきた「たたら製鉄」を通して、出雲地域で育まれてきた千年の歴史を体感できます。本取り組みは2021年より界全施設で実施している、職人・生産者と行うご当地文化体験「手業のひととき」の一環です。 背景 日本古来の鉄づくり「たたら製鉄」。砂鉄と木炭を使い、人力で風を送り込むこの伝統技法は、出雲の地で1400年以上の歴史を誇ります。その優秀性は『出雲国風土記』にも記されており、江戸時代後半から明治にかけての最盛期には、全国のおよそ8割の鉄が、出雲地域を中心とした中国山地の麓でつくられました。また、鉄の流通は全国各地の文物をもたらし、都のような華やかな地域文化をも育みました。たたら製鉄はいにしえの時代から現在に至るまで、出雲文化の根幹を成す重要な要素です。「出雲文化を遊ぶ宿」がコンセプトの界 玉造では、これまで石見神楽や日本酒の魅力など出雲文化を中心としたおもてなしを行ってきました。今回、たたら製鉄から生まれた出雲文化を通して、神話の時代から継承されてきた千年の歴史を身近に感じていただきたく、本プランを開発しました。 特徴1 神聖な鍛冶場で火花を散らす、世界に一つだけの「鍛造トレイ」製作 鍛造トレイづくりの様子 鍛造トレイ 「鍛冶工房 弘光」は、江戸時代のたたら操業からはじまり十代に渡り島根県東部で唯一、古来より伝わる、日本刀鍛錬の技法を継承しています。本プランでは、通常は入ることのできない神聖な鍛冶場で自ら火花を散らしながら叩き、オリジナルの鍛造トレイを作成します。鍛冶職人の指導のもと、1000度以上の鉄を打つ「鍛造体験」を通して、世界に一つだけのトレイを製作する体験です。鍛造後に職人が仕上げるため、その日に持ち帰ることができます。 特徴2 日本刀の技法を現代に繋ぐ「ものづくり」の深淵に触れるひととき ギャラリーの様子 ギャラリーで話す小藤氏 鍛造体験後には、工房に併設するギャラリーにて、鍛冶職人と、出雲地域に深く根付く火と向き合うものづくりの精神や、全国の鉄師たちが厚く信仰する鉄の神様「金屋子神(かなやごしん)」にまつわる伝承など、この地ならではの貴重なエピソードを学びます。また、日本刀を鍛え上げる高度な技術を応用して作られたあかり器具や、一生ものの道具として愛されるフライパンなど、伝統の技が形を変えて受け継がれている様子を見学できます。 特徴3 界 出雲で八岐大蛇のルーツを辿り、出雲の真髄にひたるひととき ご当地部屋「玉湯の間」 夕食「宝楽盛り」 ご当地楽「石見神楽 大蛇」 本プラン限定で、ご当地部屋「玉湯の間」に燭台や花器などの鍛造作品を用意します 。実際に滞在の中で作品に触れ、鉄が持つ独特の感触や重厚感を肌で感じることができます 。会席料理の象徴である宝楽盛りには、鉄穴(かんな)流し(*1)によって切り開かれた地形棚田をモチーフにした器を使用します 。鉄づくりがもたらした肥沃な大地、そこで育まれた米、そして日本酒発祥の地とされる食文化。出雲の豊かな実りを、その背景にある歴史とともに深く味わうひとときです 。夕食後に披露されるご当地楽「石見神楽」では、代表演目「大蛇」を上演します 。古くから八岐大蛇(やまたのおろち)伝説は、たたら製鉄によって荒廃した斐伊川の氾濫を神話化したものとされており、そのルーツを辿ることができます 。滞在を通して触れてきた鉄の歴史を反芻しながら鑑賞することで、神代から続く千年の歴史を感じ、出雲文化の真髄へと迫る体験となります 。 *1 鉄穴流し…山を切り崩し、水路に流して土砂から砂鉄を選別する出雲独自の技法 「手業のひととき」を担当する鍛冶工房弘光 小藤 宗相(ことう しゅうすけ)氏 小藤宗相氏 <プロフィール> 1970年、島根県生まれ。信州大学経済学部卒業後、都内の企業、地元の美術館勤務を経て本格的に鍛冶の道へ。江戸時代から続く技法を礎に、現代の空間に調和する鉄の作品を提案する。日本文化の担い手として、著名なデザイナーや文化人からもその手仕事が高く評価されており、伝統を次世代へと繋