大阪ガス株式会社(以下、大阪ガス)は、全国でソーシャルコワーキング®︎事業を展開する株式会社ATOMica(以下、ATOMica)と共同で開発した探究学習支援プログラム「Socialium(ソーシャリウム)」を学校法人 大阪明星学園 明星高等学校(大阪市、以下、明星高等学校)に提供し、高校1年生を対象に授業に行いました。なお、大阪ガスが通年での探究学習の取り組みを実施するのは今回が初めてとなります。 本プログラムは、環境やエネルギーといった社会課題をテーマに掲げ、年間を通じて生徒が課題の発見から解決策の検討までを行う探究型の学習です。授業では、体験やグループワークを取り入れながら、社会と技術の関わりについて考える機会を提供していきます。 本記事では、実際の授業の様子や参加した生徒・教員の声を紹介します。 学校での授業の様子 探究学習必修化の裏側で、教育現場が抱える課題とは 高校教育においては、生徒自らが問いを立て、答えを導く力を育む「探究学習」が2022年度から必修化されました。さらに、2026年2月に文部科学省から2040年に向けた「N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想(※1)」が示され、不確実な時代を自立して生きていくための能力や個性の伸長、探究学習・文理横断・実践的な学びによる地域の経済・社会の発展を支える人材の育成、一人一人の多様な学習ニーズに対応した教育機会・アクセスの確保等、社会変化に対応する主体的な高校教育のニーズが高まっています。主体的な学びの重要性が高まる一方で、教科書のない授業を各校で設計する必要があることや、生徒一人ひとりへの適切な指導が難しいことなど、教員の負担は小さくありません。実際に、多くの教員が探究学習に課題を感じているといわれています(※2)。 明星高等学校でも、これまで探究学習を担当する教員1名が約170名の生徒を指導する体制となっており、個人ワークが中心となる中で、生徒の関心を引き出す授業づくりに難しさがあったといいます。 こうした背景を踏まえ、大阪ガスが持つ環境やエネルギー分野の知見とATOMicaが持つ探究学習のノウハウを掛け合わせ、外部から伴走する新たな学びの形として「Socialium」を開発し、今回の導入に至りました。 ※1:文部科学省 高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/1358056_00005.htm ※2:高校の探究学習「必修化」から2年、校内組織の設置が8割にのぼるも、教員の9割が依然「課題を感じる」。全国教員向け調査(NPOカタリバ発表) https://www.katariba.or.jp/news/2024/05/31/44485/ 年間を通じて伴走する探究学習プログラム「Socialium」 「Socialium」は単に教材を提供するのではなく、年間を通じて外部講師が授業に関わり、生徒の学びを継続的に支援する点が大きな特徴です。 明星高等学校では、エネルギー・脱炭素をテーマに、グループでの議論や実験を通じて課題への理解を深め、最終的には社会課題への解決策や事業の立案を目指します。 5月に行った授業では、放射冷却素材「SPACECOOL」(※3)を題材に、講義と実験を組み合わせたプログラムを実施。生徒たちはまず、SPACECOOLの特長や開発背景、目指す未来、関西万博での活用事例などを通じて、技術が社会でどのように活かされているのかを学びました。 SPACECOOLの仕組みや活用事例について講義を実施 ※3:大阪ガスが開発し、SPACECOOL社が利活用の開発を続けている放射冷却技術を用いた新素材(https://spacecool.jp/)。放射冷却の仕組みを活用し、表面温度の上昇を抑える特性を持つ。 授業の後半では、生徒自らが屋外のプールサイドや中庭にSPACECOOLのシートを貼り、その冷却効果を測定。直射日光下でSPACECOOL表面と周囲との温度差を比較していきました。場所によっては十数度も温度差が生じ、こうした測定を通じて、生徒たちは素材の特性を実感しました。 屋外でSPACECOOLの効果を確認 授業に参加した生徒からは、 「探究学習の授業は他の授業と違って自由度が強く、自分で考えることができてとても楽しい」 「最初はSPACECOOLを貼るだけで本当に冷えるのか半信半疑だったが、実際に実験してみると大きく温度が下がっていて驚いた」 といった声があがりました。 また、教員からは、「探究学習を通じ、最後まで考え抜く力や新しい価値を生み出す力を育てたいと考えている。その中で、実際の素材や技術に触れるこうした授業は、生徒にとって大きな意味がある」と