氷川きよし(KIINA.)が、昨年11月に発売したポップスアルバム『KIINA.』リリース記念ライヴ『KIINA. Release LIVE』を、6月19日東京・EX THEATER ROPPONGI、24日大阪・なんばHatchで計4公演行なった。本公演は、アルバム『KIINA.』からの楽曲を中心にこれまでのポップス楽曲から20曲を披露。「KIINA.」というタイトルに込められた、ありのままの自分を表現するという想いがまっすぐに放たれた情熱的なライヴになった。その東京公演をレポートする。 オープニング映像からドキッとさせられる。アルバム『KIINA.』のジャケットの後ろ向きの女性が振り返ると、その人もKIINA.で、その瞳の中に吸い込まれていく。そこにあるのは宇宙、地球、胎児…全ての命を掬いあげ、魂を体感させてくれ、“在るべき形”を表現。そして発表当時、心の叫びを描いた歌詞とMVが大きな話題になった「魔法にかけられた少女」(2022年)のMVを逆再生した映像が流れる。 オープニングナンバーは「魔法にかけられた少女」。赤×黒のドレスで登場したKIINA.の歌が会場の空気を切り裂く。「薔薇 VOLCANO」では<自由奔放に我が舞台舞い踊れ>と、激しく、そして自由に伸び伸びと歌う。KIINA.作詞の真っすぐなメッセージソング「デキヤシナイ」、そして全ての人が前向きに生きることを願うロックナンバー「Jeanne d'Arc~聖女の微笑み~」では、ダンサーが赤い布を炎のようにはためかせ、KIINA.の“生き様”をストレートに伝えていく。客席は立ち上がり盛り上がる。 檻の中の椅子に座って登場し披露したのは「確信」だ。檻から立ち上がったKIINA.は<明日が来ないとしたら><今日が最期だとしたら>とマシンガンのように言葉を客席に向け放つ。強さと妖艶さを兼ね備えたカッコいい女性を表現した「ラ・マスカレイド」は4人のダンサーと共にエモーショナルな歌を披露。重心の低い音がより勇壮さを表現する「雷鳴」(ゲーム『信長の野望・新生』エンディングテーマ)ではコーラスとの掛け合いを聴かせてくれる。 バンドが「Father」を演奏しMVが流れ、スパンコールスーツに着替えたKIINA.が登場し、自身が作詞をした父との思い出を歌った(作曲/木根尚登(TM NETWORK))「はじまり」を披露。ここまでの歌とはガラッと変わって、その優しい歌声で父親との大切な思い出を届ける。コントラバスが響くジャジーなラブバラード「This is Love」は甘い歌声で包み込み、まさに七色の声、豊潤な表現力で客席を引き付ける。歌い終わったKIINA.は「あ~緊張したー!」とその場に座り込む。「初めてのKIINA.を全面に出したライヴ、口がポカーンとしている人もいるかもしれない。でもそれでいいの。新しい世界を見るってそういうこと」と語ると、大きな拍手が起こる。そして「ひとりの人間としての思いを歌詞、作品にして演出を考え、魂を表現しました。情熱的に歌いました」と、このライヴへの想い、意味を伝えると大きな歓声が贈られる。 アコースティックバージョンの「白睡蓮」(作詞:松本隆、作曲TAKURO(GLAY) )を、誰かに語り掛ける様に切々と歌うと、胸が締め付けられる。活動休止中にアメリカ・サンタモニカの海を見ている時に浮かんできた言葉を自ら歌詞にし、木根尚登に楽曲を依頼した「暴れ海峡」は、ポップスと演歌両方の空気を纏う“ネオ演歌”で、KIINA.の圧巻の歌声がドラマティックな世界を作り上げる。「BE THE LIGHT」もKIINA.が生きる葛藤を英語詞で綴った(共作)作品で、客席に丁寧に伝える。結ばれない運命を描き<どうかあなたよ幸せにならないで 地獄で会うまでは>という歌詞が印象的な「自鳴琴」は、組曲のような激しい構成で、ステージに倒れこみながら懸命に歌う。まさにKIINA.にしか歌えない、表現できない一曲だ。 レオパード柄のセクシーな衣装に着替え「Party of Monsters」「限界突破×サバイバー」とクライマックスへ。客席は一緒に踊り、タオルとペンライトを振り、一体となり熱狂が生まれる。 アンコールは「ハニカムシステム」から。ライヴTシャツにダメージデニム、黒ラインストーンの眼鏡というラフなスタイルで、日常をかわいらしく描いたポップソングを軽快にダンスし、歌った。「キニシナイ」は初のポップスアルバム『Papillon(パピヨン) - ボヘミアン・ラプソディ-』(2020年)に収録されたEDM作品で、SNSの危うい世界に対し、目を見て話そうというメッセージソング。KIINA.とダンサーのパフォーマンスに客席もノリノリだ。さらに「Happy!」でどこまでも前向きなメッセージを届け