■南あわじ市の「フレイル外来事業」の特徴 ①従来の介護予防事業では届きにくかった方へ、早い段階からアプローチする仕組みであること ②単なる運動指導ではなく、本人の「望む暮らし」や「大切にしたい生活」を後押しする事業であること ③フレイル外来を入口に、人・地域・制度をつなぐまちづくりにつなげていくこと 南あわじ市では、人口減少と超高齢化が同時に進む中、2040年には生産年齢人口と高齢者人口がほ ぼ同数となる「1対1」の時代を迎えると推計されています。 この未来を乗り越えるためには、介護が必要になる前から高齢者一人ひとりが自分の健康状態に気づ き、暮らしを見直し、地域とのつながりを持ち続けられる環境を整えることが重要です。 地域の体操教室やサロンなどの「通いの場」は、介護予防の大切な基盤です。一方で、こうした場に 参加できる人は、比較的健康意識の高い方、特に女性に偏りやすい傾向があります。まだ地域の活動や 介護予防事業につながっていない高齢者に、元気なうちから健康づくりや社会参加のきっかけをどのよ うに届けるかが課題となっています。 そこで本市では、従来の介護予防事業では届きにくかった層にもアプローチし、元気なうちから自分 の健康や暮らしを見つめるきっかけとして、「フレイル外来事業」を推進しています。介護が必要にな る前から、本人の気づきと地域とのつながりを後押しする、新たな健康づくりの選択肢です。 支援を必要とする方を真のターゲット層としています。 ■男性参加率48.5% 幅広い年代が利用する健康づくりの入口 フレイル外来は、令和5年度の事業開始から令和7年度 末までに、累計で実人数232人が受診しています。令和7 年度の受診者をみると、受診者の性別は男性48.5%、女性 51.5%であり、一般的な介護予防事業と比べても、男性の 参加割合が高いことが特徴です。年代別では、60歳代が 23.5%、70歳代が41.2%、80歳代が35.3%となってお り、70歳代を中心に、80歳代まで幅広く利用されていま す。 フレイル外来の受診比率(年代別、男女別) ■“年齢のせい”で終わらせず、本人らしい暮らしを後押し 地域で役割やつながりを持ち、支え合う フレイル外来の特徴は、健診や医療機関、ケアマネジャー、通いの場など、複数の入口から受診につながり、 医師と専門職が連携して本人の状態を多面的に評価したうえで、生活改善や社会参加まで一体的に支える点にあ ります。初診は市の助成により無料で受けることができます。 外来では、医師が体力測定や生活習慣などをもとに、虚弱の原因を医療と介護予防の両面から確認します。あ わせて、リハビリテーション専門職等が、筋力、歩行速度、バランス、口腔機能、認知機能、栄養状態などを多 面的に評価し、本人に合った支援の方向性を検討します。 診断後は、必要に応じて、運動、食事、口の健康、外出や社会参加などを組み合わせた個別支援につなげま す。重視しているのは、単に身体機能の改善や知識の提供にとどまらず、本人が「どのような生活を続けたいか」 「何を大切に暮らしたいか」を確認しながら、日々の暮らしの中で続けられる取組を一緒に考えることです。 ■「受けてよかった」が、健康への関心を高めるきっかけに 令和7年度受診者アンケートでは、フレイル外来に対して「大変満足」「満足」と回答した人は92.6%でした。 また、「自分の健康状態への理解が深まった」と回答した人は92.5%、「フレイル予防は必要だと感じている」と 回答した人は89.7%となっています。 受診後に増えた意識としては、「運動を意識して体を動かそうと思った」が66.2%、「食事や栄養に気を付けよ うと思った」が60.3%、「口の健康に気を配ろうと思った」が47.1%でした。 さらに、「必要なときに相談できる相手や機関を考えておこうと思った」が41.2%、「健康に関する情報に関心 を持つようになった」が29.4%となっており、受診をきっかけに、自分の体だけでなく、これからの暮らし方 や、困ったときにつながれる先について考える機会にもなっています。 ■介護予防から、地域とつながるまちづくりへ フレイル外来の目標は、機能改善にとどまりません。本人が自分の健康状態を知り、生活を見直し、必要に応 じて地域の活動や支援につながることで、自分らしい暮らしを続けられるよう後押しすることを目指していま す。 そのため、市では『南あわじ市高齢者のための暮らしの情報誌』を活用し、百歳体操会場をはじめ、交流の場、活動の場、生活支援など、多様な地域資源との接点づくりを進めています。必要に応じて初回同行を行い、 不安の大きい最初の一歩を支える取組も進めています。令和8年度からは、通院が困難な方に対する