外資系・グローバル企業を中心としたプロフェッショナル人材紹介サービスを展開するエイペックス株式会社(本社:東京都渋谷区)は、自社が保有する独自の転職市場データおよび最前線のコンサルティング現場における動向を基に、「弁護士・法務人材の転職市場レポート2026」を公開いたしました。 現在、国内の法務人材市場は「超・売り手市場」の様相を呈しています。特にインハウス(企業内弁護士)の需要は年々右肩上がりに伸びており、若手アソシエイトレベルからマネジメント・ヘッドレベルまで、多様な職位・職種において求人募集が活況です。 本レポートでは、エイペックス独自データと採用現場の知見をもとに、高額オファーの拡大、英語力による平均年収400万円超の差、「英語=外資系」という従来のキャリア観の変化、シニア層の内資回帰、働き方を重視する価値観の広がりなど、法務人材市場で起きている最新トレンドをまとめました。 【ハイライト】最前線の現場から読み解く、弁護士転職市場の最新トレンド 1. 高額オファーが拡大:1,500万円超の法務人材も多数、上位層は4,000万円規模へ このApexデータから見えてくるのは、現在の法務人材市場では、シニアカウンセル、法務部長、パートナー候補など、経営に直結する重要ポジションへの転職が多いという点です。 エイペックスが支援した法務人材の転職時年収分布を見ると、「1,000万円〜1,500万円未満」が最も多く、1,500万円以上の高年収層も大きな割合を占めています。 現在の年収相場の目安として、四大・外資系法律事務所出身の若手アソシエイト(PQE3〜5年)がインハウスへ転職する場合、年収900万〜1,300万円のオファーが一般的です。ミドル層(PQE6〜10年)になると年収1,500万円前後に達します。 さらに外資系企業になると水準は上がり、シニアカウンセルで年収1,200万〜2,000万円超、CLO(最高法務責任者)やHead of Legalなどの上位ポジションでは、RSUやストックオプションを含め年収4,000万円規模に達するケースも出ており、経営に直結する重要ポジションでの採用獲得競争が激化しています。 2. 英語力で平均年収400万円超の差:内資企業もグローバル法務人材の獲得競争へ Apexのデータでは、英語力が高い法務人材は平均年収で400万円以上高い傾向が見られました。一方で、企業が重視するのは単なる英語力ではなく、海外拠点と信頼関係を築き、日本法上のリスクや意思決定の背景を論理的に説明できるコミュニケーション能力です。 英語力が高い層ほど平均年収が高い傾向にある中、キャリアの選択肢として「英語力が高ければ外資系がベスト」というこれまでの最適解に変化が起きています。 外資系企業において英語力は「前提条件」であり、むしろ「英語を使って何を実現できるか」が問われます。 一方で近年、グローバル展開を加速させる大手内資系企業において、弁護士の「英語力」そのものに高い希少価値を見出し、外資系に劣らない好待遇や上位ポジションを提示するケースが増加しています。これにより、優秀なグローバル法務人材にとって「内資企業」が極めて魅力的な選択肢として急浮上しています。 3. シニア層の「内資回帰」が活発化:HQの意思決定者を目指す動き Apexのデータでは、40代の転職者が最も多く、50代以上も大きな割合を占めています。20代・30代の若手層だけでなく、40代・50代以上のシニア層も積極的にキャリアを動かしていることが見えてきます。 上記の流れとも連動し、現在ディレクターレベルにいるシニア層の間で、「外資から内資へ」という逆流現象がひとつのトレンドとなりつつあります。外資・内資の両方を経験したシニア層ほど、「日本本社(HQ)の意思決定者として、組織のドラスティックな成長に直接貢献したい」という志向が強まっています。 4. 週5出社許容はわずか1割:「どう働くか」が最大の企業選定基準に 「リモートワークの有無」は、求職者が企業選びを行う初期段階で最も厳しく比較されるポイントです。現場のコンサルタントの肌感覚として、週5日出社を許容できると答える弁護士は「10人に1人程度(約10%)」に留まります。シニア層は比較的出社に対して柔軟な傾向が見られるものの、特に子育て世代を中心とした実務中堅層においては、「どこで働くか」だけでなく「どう働くか」という柔軟性が、内定承諾を左右する決定打となっています。 5. 「法律事務所か、インハウスか」二者択一からの脱却と新たな“還流” ベテラン層を中心に、「インハウスでの企業実務経験を独自の強みとして、今度は法律事務所に戻ってプレイヤーとしての専門性をアップデートしたい」と考える動きが市場へ現れ始めています。