民間金融機関のESG方針の格付けや実際の投融資のケース調査などを行ってきた国際青年環境NGO A SEED JAPAN と「環境・持続社会」研究センター(JACSES)は、日本の大手資産運用会社14社(大手金融グループの運用会社を選定。外資系を除く。)の気候変動への取り組みについて、2023年度調査、2024年度調査に続き、排出削減目標、化石燃料に関する方針の有無、エンゲージメントや議決権行使に係る方針や実施状況等に関して、30項目で評価し、3回目のスコアリングを実施しました。3月30日に、調査結果および評価方法を14社に送り、4月28日までフィードバックを受け付けました。 結果は、アセットマネジメントOneが1位、三菱UFJアセットマネジメントが2位、野村アセットマネジメントと三井住友トラスト・アセットマネジメントが3位となりました。 <注目ポイント> 1. Net Zero Asset Managers Initiative(NZAMI)に署名する11社のうち、1社が目標を取り下げ、3社が見直し中である。2025年2月に脱退した東京海上アセットマネジメントは、調査時点で復帰していない。 2. 環境NGO等の気候変動関連株主提案への賛成率は昨年と比べて大きく低下。14社の平均賛成率は4%だった(昨年度:調査対象16社の平均賛成率は20%)。 3. 昨年比で総合スコアを大きく落とした5社は、いずれも株主提案への賛成率低下が大きな原因である。 総合スコアの平均は25.4で、2024年度比で下落しました(今年度調査対象外の2社を除く14社について、2024年度の平均合計点は27.5)。特に、設問分野1や6における取り組みの後退(後述)が、平均点を押し下げる形となりました。 特に、昨年度調査では気候変動関連株主提案への賛成率が上位だった、アモーヴァ・アセットマネジメント(旧・日興アセットマネジメント)、野村アセットマネジメント、農林中金全共連アセットマネジメント、ニッセイアセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントですが、今回は各社とも大幅に減少またはゼロとなり、合計点・順位を大きく下げる結果となりました。 <スコアリング結果の概要> ネットゼロ宣言・排出削減目標について 本調査によれば、日本の大手運用会社のほとんどで、Net Zero Asset Managers Initiative(NZAMI)への署名や2050年ネットゼロ宣言が行われているものの、第1回(2023年度)、第2回(2024年度)調査に引き続き、2030年ポートフォリオ温室効果ガス排出削減目標において、50%を超える野心的な削減目標を設定している会社はありませんでした。 NZAMIは2025年1月に活動を停止し、今年2月に再開しました。しかし、署名機関に求めるコミットメント事項として、「2050年のネットゼロを目指す」という文言が無くなりました。また、「2030年にCO2排出を50%削減するという世界的な要請の『公正な負担』と整合する目標の設定」、「少なくとも5年ごとの目標の見直し(引き上げ)」という要件も削除されています[1]。 しかし、今回の調査対象企業のうち、NZAMIに署名している11社では、10社が従来の削減目標を放棄せず、維持していました[2]。11社のうち、アモーヴァ・アセットマネジメント(株)は、従来の削減目標を記した公開文書が確認できなかったため、「目標を取り下げた」と評価しました。残り10社は、従来の削減目標を記した公開文書を残していたため、「目標を維持している」と評価しました。ただし、そのうち3社は、NZAMIのウェブサイトによれば、削減目標を見直し中です(3月21日時点)。 なお、2025年2月にNZAMIから脱退した東京海上アセットマネジメント(株)は、2026年3月調査時点で復帰していませんが、ネットゼロへのコミットや2030年の削減目標を対外的に示す文書が確認できました。引き続き各社には、削減目標を強化していくことが期待されます。 石炭・石油・ガス等に関する事業者への投資を制限・除外する方針について 2030年の排出削減・中間目標と2050年ネットゼロ達成に向けては、石炭・石油・ガスの採掘や発電関連事業者への投資を制限・除外する何らかの方針を持ち、企業に事業転換を促すことが必要ですが、そのような方針を持っていたのは、第1回、第2回調査と変わらず、アセットマネジメントOneとSOMPOアセットマネジメントのみで(Q6, 7, 10)、進展が見られませんでした。気候変動対策としての有効性が疑問視されていバイオマス発電や水素・アンモニア発電関連事業者については、どの会社も方針を持っていませんでした。バイオマス、水素・アンモニアの