ドローン運航サービスを⼿がける株式会社 Le Ciel DRONE(本社:愛知県名古屋市、代表: 鵜飼⼤樹)は、新⽇⼟地家屋調査⼠法⼈との共同により、令和 8 年 4 ⽉ 16 ⽇、静岡県⻄部 の中⼭間地域にて、測量機材の運搬業務をレベル 3.5 ⾶⾏(補助者なし⽬視外⾶⾏)の枠組み で実施いたしました。 本件は実証実験ではなく、実際の測量業務における運搬作業として実装されたものです。 「ドローンが現場で使えるか試す」段階を超え、「ドローンを業務の⼀部として組み込む」 段階に到達したことを⽰す事例として、今後の業界展開のモデルケースになると考えており ます。 今回使用した大型ドローン ■ 「実証」から「実装」へ ― 業務フローに組み込まれたドローン運搬 ドローンによる物資運搬は、これまで実証実験や技術デモンストレーションとして数多く実 施されてきました。しかし、「実証で成功した」ことと「⽇々の業務として運⽤に乗ってい る」ことの間には、⼤きな隔たりがあります。実装に踏み込むには、運航設計、申請対応、 現場との調整、コスト構造、安全管理体制の構築など、技術以外の多⾯的な要件をクリアす る必要があるためです。 今回の取り組みは、こうしたハードルを越え、レベル 3.5 ⾶⾏を「実際の測量案件における 運搬⼯程」として組み込んだ事例です。⼀度きりの公開実証ではなく、現場の業務フローの ⼀部として運⽤されている点が、本事例の最⼤の特徴です。 具体的には、以下の 3 点において、実装フェーズへの到達を⽰しています ■ 業務案件への組み込み:実証⽤の特設環境ではなく、実際の測量業務の運搬⼯程とし て実施 ■ 申請・運航管理の標準化:航空局承認、有⼈航空機関係 11 団体への事前周知、ノータ ム発⾏依頼まで⼀連の運航管理プロセスを定型化 ■ 再現可能な運⽤設計:同様の⼭間部測量案件に横展開できる運⽤パッケージとして体系化 ■ 背景:⼭間部測量における「運搬負担」という構造的課題 ⼟地家屋調査⼠による測量業務をはじめ、林業、インフラ点検、⼟⽊⼯事など、⼭間部での 業務では現場までの機材運搬が⼤きな負担となっています。重量のある測量機材を担いで急 斜⾯を往復することは、作業員の⾝体的負担はもちろん、転倒・滑落といった労働災害のリ スクにも直結します。 特に中⼭間地域では、測量・⼟⽊現場の⼈⼿不⾜と作業従事者の⾼齢化が同時進⾏してお り、「機材を運ぶだけで体⼒を消耗し、本来の専⾨業務に⽀障をきたす」という構造的な課 題が⻑年指摘されてきました。 山間部の様子 ■ 取り組み内容:測量実務者とドローン事業者の協業による実装 新⽇⼟地家屋調査⼠法⼈が⽇常的に直⾯する測量現場の運搬課題に対し、株式会社 Le Ciel DRONE が運航設計・申請・実機運⽤を担うかたちで実装に⾄りました。 使⽤機体には、最⼤離陸重量 65kg クラスの DJI FlyCart30 を採⽤。地形条件と安全管理上 の判断に基づき、適切な運航体制のもとで測量機材の運搬を⾏いました。レベル 3.5 ⾶⾏の 制度的枠組みのもとで、実業務として成⽴する運⽤形態を組み⽴てた点が、本事例の実装上 の核となっています。 レベル3.5にあたり外部モニターが必要となる。 ■ 業界共通の課題:「電波が届かない場所」へどう運ぶか 実装フェーズに踏み込むなかで、ドローン業界全体が直⾯する共通課題にも改めて向き合い ました。それは、「ドローンを最も必要とする場所ほど、電波が届きにくい」という構造的 な問題です。 ⼀般に普及しているドローンの多くは、電波法に基づき 2.4GHz 帯および 5.7GHz 帯の無線 通信を⽤いていますが、⼭間部のような起伏のある地形や、樹⽊・構造物に遮られる環境で は、機体との通信が安定しにくいという特性があります。⻑距離・安定通信が可能な携帯通 信回線(LTE 等)を活⽤する選択肢もありますが、機体ごとに陸上移動局の免許が必要とな り、申請・運⽤のハードルは決して低くありません。 結果として、⼭間部での産業利⽤、被災地における緊急輸送・状況把握、過疎地への物資配 送など、本来ドローンが⼤きな価値を発揮しうる現場ほど、通信制約に直⾯しやすいという ジレンマが⽣じています。近年の災害対応の現場でも、同様の課題が指摘されてきました。こうした制約下で、現場ごとに地形・通信環境・安全管理を総合的に判断し、最適な運航体 制を組み⽴てることは、すべてのドローン運航事業者に求められる実務上の重要なテーマで す。当社は、業務運航を通じて得られた知⾒を発信し、制度⾯・技術⾯の両輪から、より安 全で実⽤的なドローン社会実装に向けた業界全体の議論に貢献してまいります。 山間部は見通しの悪い現場も多