Ihana訪問歯科グループ(代表:三輪俊太、以下Ihana)は、診療スタッフが勤務時間中にGoogle Meetを常時接続する「常時接続型の診療支援体制」を2025年より試行実装してきました。 スタッフ9名を対象に実施した自己評価アンケート(14項目・10点満点、パイロット調査)では、多職種への連絡負担のスコアが平均8.3点から1.5点へ低下、チームのつながり・安心感は4.0点から8.0点へ上昇するなど、コミュニケーション・診療品質・業務効率の各面で変化が確認されました。2026年6月12日、第37回日本老年歯科医学会にて代表・三輪俊太がその成果を公表いたしました。 ■ 訪問診療における「判断の持ち帰り」という課題 歯科訪問診療は、歯科医師・歯科衛生士・医療事務が患者宅や施設に分散する業務特性から、以下の構造的な課題を抱えています。 ・ 判断の「持ち帰り」が常態化:現場で迷っても、その場で相談できない ・ 情報の断片化:帰院後に集まる申し送りでは、タイムラグと伝達漏れが生まれる ・ 現場スタッフの孤立感:「一人で対応している」という不安が診療の質に影響する 電話・チャットによる従来の連携では、診療中の手が離せないタイミングでの連絡に大きな負担がかかり、上級医への即時相談や施設・家族への迅速対応も難しい状況でした。 ■ Google Meet常時接続による診療支援体制 Ihanaでは、歯科医師・歯科衛生士・医療事務がGoogle Meetを常時オン(映像・音声)にすることで、現場とバックオフィスが一体となる「一体型の診療体制」を構築しました。 ・発話内容を医療事務がリアルタイムで記録(カルテ・報告書) ・上級医・歯科技工士への即時相談が可能に ・施設・家族への連絡を事務側が即時対応 ・スタッフが「一人ではない」感覚を持ちながら診療できる環境 本取り組みは単なる効率化ではなく、「誰が、いつ、どの情報で判断するのか」という意思決定の構造そのものを再設計するものとして位置づけています。 2026年6月12日、第37回日本老年歯科医学会学術大会にてポスター発表を行う三輪俊太代表 2026年6月12日、第37回日本老年歯科医学会学術大会においてポスター発表として公表されました。 訪問歯科の現場では、スタッフが一人で判断し、一人で抱え込む構造が長年当たり前とされてきました。その構造そのものを変えることが、医療の質を守ることだと考えています。まずは自分たちの現場で実証し、訪問医療全体のスタンダードにしていきたいと思っています。 ■社内アンケート調査の概要 対象 Ihanaグループスタッフ9名(歯科医師・歯科衛生士・医療事務) 方法 自己評価アンケート(14項目・10点満点) 時期 試行実装前後(2025年〜2026年、Ihanaグループ調べ) 性格 パイロット段階の試行調査。※統計的検証を伴うものではありません。 ※ 注記 本調査はスタッフ9名を対象とした試行実装段階のパイロット調査です。各スコアは自己評価アンケートの平均値(10点満点)であり、統計的検証を伴うものではありません。個人差があり、全スタッフで同様の変化が生じたことを保証するものではありません。 ◆ 主な結果(抜粋) 設問 導入前 導入後 変化 Q1 多職種への連絡(負担感) 8.3点 1.5点 ▼ 82%低下 Q2 必要な相手にすぐ連絡できる 1.7点 8.8点 ▲ 411%上昇 Q7 伝え漏れへの不安 7.0点 3.4点 ▼ 52%低下 Q10 訪問中の一人対応の不安 6.1点 2.7点 ▼ 56%低下 Q11 つながり・安心感 4.0点 8.0点 ▲ 102%上昇 Q14 診療全体のスムーズさ 4.7点 7.8点 ▲ 65%上昇 ※ スコアは10点満点の自己評価の平均値。負担感・不安感は低いほど改善、満足感・効率感は高いほど改善。変化率は参考値。 ◆ グラフ:負担感・不安感の変化(導入前後) ◆ グラフ:満足感・効率感の変化(導入前後) これらの結果から、常時接続は単なるコミュニケーション改善にとどまらず、診療現場の安心感や意思決定の質にも影響を与えていることが示唆されました。 ■ 今後の展望 Ihanaは今後、チーム医療や多職種連携の高度化を進め、「一人で判断しない医療」を訪問歯科のスタンダードとして確立することを目指します。 本取り組みは訪問歯科に限らず、訪問看護や訪問介護など、現場が分散する在宅ケア全般が抱えるコミュニケーションや意思決定の課題に対する一つのモデルとして展開していきます。 私たちが目指すDXは、人との接触を減らすためのものではありません。むしろ、離れた場所にいても互いを支え合い、相談し合える環境をつくることで、人と人とのつながりを強くするためのものです