東京学芸大学発ベンチャーの株式会社Dmelt(本社:東京都渋谷区、代表取締役:田﨑 智憲・中田 一朗太)は、国立大学法人東京学芸大学(東京都小金井市、学長:佐々木幸寿)と共同研究契約を締結いたしました。同大学 副学長・先端教育人材育成推進機構長の堀田龍也氏と連携し、AX(AIトランスフォーメーション)時代における「キャリア・クラフティング」を基盤とした次世代教育モデルの研究開発を開始しました。 ■ 研究の背景 生成AIをはじめとするデジタル技術の急速な普及により、ルーティンワークの自動化が著しく進んでいます。それと同時に、人間ならではの能力とは何かという議論がかつてなく活発になっています。AX(AIトランスフォーメーション)による社会変革が進むなか、働き方そのものも大きく変化しています。複数の仕事・役割を並行しながら学び続ける「マルチステージな人生」が広がり、キャリアを「一度決めて終わり」ではなく、「生涯にわたって主体的に更新し続けるもの」と捉える考え方が広がっています。 国際的にも、OECD(経済協力開発機構)は2019年に公表した「ラーニング・コンパス2030」において、学習者が自ら目標を定め主体的に行動する力である「エージェンシー」と、個人と社会の持続的な幸福の実現を目指す「ウェルビーイング」を教育の中核に据えました。さらに、2025年に公表した「ティーチング・コンパス」では、教師自身も主体的に学び続けながら専門性を高め、成長し続ける専門職であることの重要性を示しています。 AX時代のいま、「企業における人材育成」と「学校教育」というこれまで別々の文脈で語られてきた両領域で、「ウェルビーイングを目指して主体的にキャリアを切り拓ける人材をいかに育てるか」という共通のテーマへの関心が高まっています。国の教育政策においても、主体的な学びとキャリア形成を結びつけることは重要な要請として位置づけられています。本共同研究は、こうした社会的な動きを踏まえて立ち上げた実践的な取り組みです。 ■ 本研究の中心概念:キャリア・クラフティング 「キャリア・クラフティング(Career Crafting)」は、自分のキャリアを受け身で歩むのではなく、価値観や関心の変化に応じて、主体的にキャリアを更新し続けることです。現在の仕事の進め方を主体的に工夫する「ジョブ・クラフティング(Job Crafting)」の研究を起点とし、もともとは企業における人材育成・組織行動の研究領域で発展してきた概念ですが、学校教育への体系的な応用は、いまだ十分に開拓されていない領域です。成人就業者を対象とした尺度開発や実証研究が進み、日本語版の検証も行われるなど、実証的な研究基盤をもつ領域として確立されつつあります。 ■ 本共同研究の目的と概要 本研究は、「キャリア・クラフティング」を軸として、学習者が自らの人生を主体的に形成し続けるために必要な資質・能力の構造を整理し、学校教育への実装と社会への展開を目指すものです。主体性の深まりとキャリア形成の接続を理論的な軸として、2026年度中を目途に以下に取り組みます。 A. 資質・能力の整理 キャリアを主体的に更新し続けるために必要な資質・能力を整理します。あわせて、学習者とともに伴走する教育者に必要な資質・能力も整理し、教育現場で実際に活用できるフレームワークを作成します。 B. プログラムの開発・実証 学習者の発達段階に応じたプログラム案を整理し、実際のプログラムを開発します。 C. 教職課程学生・現職教員との検討 教職課程の学生および現職教員からのヒアリングやフィードバックを通じて、本研究で作成するフレームワークの実践的な有用性や活用可能性を検討します。 D. 思考・行動・内省ログの標準データフォーマット策定 学習者の思考・行動・内省のプロセスを継続的に記録・蓄積するための標準データフォーマットを設計します。 ■ 教員養成フラッグシップ大学である東京学芸大学との連携 文部科学省から教員養成フラッグシップ大学に指定されている東京学芸大学は、日本の教員養成を先導する大学として、2023年から「自律型カリキュラムデザイン」の研究・実践に取り組んできました。「自己理解と目標の措定」「自分の成長の姿を描き、学びのデザイン」「成長の軌跡を確認、振り返りと見通し」「新たな自己像の探求」という循環的なプロセスを通じて、学生が自らの学びとキャリアを主体的に設計できる教員養成モデルを構築し、国内に先駆けて実践・検証を進めてきました。 本研究では、こうした東京学芸大学の先進的な取り組みと連動することで、AX時代を生きる次世代の教育人材育成にも貢献したいと考えています。 ■ 堀田龍也教授(東京学芸大学)コメント 社会や産業構造が大きく変化する