九州各地の耕作放棄地をムクナ豆の育つ畑へ。そして味噌へ。 「気候変動の時代にも、日本の『食』と『健康』を支え続けられる社会にしたい──。」『大地のムクナ』プロジェクトは、温暖化による大豆減産や資源高騰のリスクに対し、農薬や肥料に頼らない国産たんぱく源を糸島から全国へ届けることで、持続可能な食の未来を目指します。2026年度は、耕作放棄地の再生、伝統の発酵技術を活かした薬膳味噌の製造に加え、食品メーカー、社員食堂や飲食店を対象とした先行導入パートナーシップも始動しています。 ▶ 大地のムクナ公式サイト https://daichinomukuna.jp/ 地球温暖化と資源高騰。日本の「食」の未来を支える次世代の豆 日本は今、温暖化による不作や原材料の高騰、さらに円安が重なり、これまで当たり前だった食料の安定供給が揺らぎ始めています。特に日本の食卓を支える「大豆」は、世界的な需要拡大による森林伐採や輸送エネルギーの増加など、皮肉にも地球温暖化の要因の一つとなっています。 そこで私たちが着目したのが、江戸時代には救荒作物(きゅうこうさくもつ)としても重宝された、気候変動に強い「ムクナ豆(八升豆)」です。農薬や肥料に頼らず、耕作放棄地でも旺盛に育つこの豆は、大豆を上回る豊富な栄養素を持つだけでなく、緑肥(次の作物のための肥料)としても活用できるなど、まさに現代の食料危機の救世主となる可能性を秘めています。 ブドウの耕作放棄地を受け継いで、耕作した畑になるムクナ豆 伝統の「味噌づくり」が、一般流通の壁を打ち破った しかし、ムクナ豆の社会実装には大きな壁がありました。ムクナ豆は強力な天然成分「L-ドーパ」を豊富に含む反面、過剰摂取リスクを考慮すると一食あたり約3g前後しか摂取できず、これまでは「知る人ぞ知る健康食品」に留まっていたのです。そのため、スーパーや飲食店で一般流通させる食品としての活用は極めて困難とされてきました。 この常識を覆したのが、日本古来の発酵技術である「味噌づくり」でした。 近年の研究により、伝統的な味噌づくりの工程を経て発酵させることで、ムクナ豆に含まれるL-ドーパが分解・消失することが判明。これにより、子供からお年寄りまで誰もが毎日安心して食べられる食品化に成功しました。完成した味噌は、通常のお味噌を大きく上回る抗酸化物質(ポリフェノールなど)を含み、味わいも非常に濃厚で高い食味評価を得ています。 ”【論文】ムクナ豆味噌の調製 および調製過程における抗酸化活性の変化 日本調理科学会誌 Vol. 50,No. 5,174~181(2017)〔報文〕 [和文抄録]※引用 多収穫を特徴とするムクナ属マメは,L-DOPA を乾燥種子中に3-9%と多く含有するため,食品としての利用は限られている。ムクナ豆の利用として味噌に着目し,種々の条件の組み合わせによる4 種類:米麹辛口,米麹甘口,麦麹甘口,および米麹甘味噌を調製し,発酵中の外観及び成分変化を測定した。比較のため同じく4 種類の大豆味噌を調製した。pH,酸度Ⅰ・Ⅱ,たんぱく質溶解度,および色測の値より,ムクナ豆味噌はいずれの種類においても大豆味噌と同様な熟成過 程を経て味噌になった。ムクナ豆味噌のL-DOPA 量は仕込み直後には味噌湿重量 100 g 中 0.14-0.26 g 残存していたが,発酵開始後は直線的に低下し,味噌完成時には検出されなくなった。 官能評価の結果,ムクナ豆味噌の総合評価は大豆味噌に比べて高い傾向を示し,中でも米麹を用いた甘口味噌の評価が高い傾向がみられた。ムクナ豆米麹甘口味噌の抗酸化能は大豆米麹甘口味噌よりも有意に高く,DPPH 法では1.7 倍,ORAC 法では4.5 倍高値を示した。これらのことより,ムクナ豆を主原料とした味噌は発酵過程でL-DOPA が消失し,嗜好性が良好で,抗酸化能にも優れることが示された。” 大地のムクナ プロジェクトの取り組み ● 耕作放棄地の再生栽培プロジェクト 糸島を拠点に、九州各地の耕作放棄地を再生。生命力の強い「ムクナ豆」を育てています。大地のムクナブランドとしての耕作面積は2ヘクタールを突破。さらなる増産を進めています。 ●「大地のムクナ 糸島大豆の薬膳味噌」製造・販売 ムクナ豆と九州産(主に糸島産)の大豆をベストな割合でブレンド。九州各地の老舗味噌蔵の協力を得て、栄養価・抗酸化物質に富んだ次世代の薬膳味噌を開発しました。 ● 大地のムクナを活かした薬膳味噌を使用した商品開発 糸島・九州の豊かな海の幸・山の幸(未利用魚や地魚、国産メンマ、地元の銘柄豚・鶏など)と薬膳味噌を掛け合わせた、以下の商品開発・ラインナップ拡充を進めています。 ・未利用魚や地魚の味噌漬け ・国産メンマの味噌漬け ・糸島や九州の野菜を活