Sansanグループで創業24年の徳島大学発AI企業である株式会社言語理解研究所(徳島県徳島市、以下「ILU」)は、製造業の技能継承や知識共有を支援するため、生成AIによって電子マニュアルを活用しやすくする新サービス「製造現場ナレッジAI」を7月1日より提供開始します。 日本のものづくりを支える製造業では、近年、熟練技能者の高齢化や人材不足が課題であり、技術やノウハウをどのように次世代に伝えるかが重要なテーマとなっています※1。こうした課題への対策として、熟練技能者が培ってきた知識・経験の可視化やマニュアルの電子化等の取り組みが進められてきました。 一方で、電子化された情報を現場で有効活用するためには、必要な知識へ適切にアクセスできる環境づくりが欠かせません。特に生成AIを活用した検索システムでは、文書の構成や情報の関係性が整理されておらず、現場ごとに異なる呼称が使われている場合、情報を適切に検索できない可能性があります。 こういった製造現場特有の課題に対して、ILUは自社が徳島大学での研究開始より約40年に渡って蓄積してきた、人が持つ知識やノウハウをコンピュータが理解・活用できる形に整理・構造化する技術(自然言語処理技術※3)を用いた新サービス「製造現場ナレッジAI」の提供を開始します。 本サービスでは、PDF・Excel・図表等で記載された設計書や手順書、点検記録などの情報を、意味や関係性を踏まえて構造化し※2、生成AIが活用しやすいデータに変換することで、表現の違いに左右されることなく、全ての技能者が必要な情報へ迷わずたどり着ける環境を提供します。 またILUは、本サービスの年間6社への提供、製造現場における技能継承の促進ならびに、持続的な発展を目標としています。 ※1:詳細は「日本のものづくり現場が抱える課題」に記載 ※2:詳細は「情報の構造化とは」に記載 ※3:詳細は「自然言語処理技術とは」に記載 ■ 新サービス「製造現場ナレッジAI」の概要 本サービスは、製造現場に蓄積された設計書や手順書、点検記録などの電子データを整理・構造化し、これまで熟練技能者のノウハウに依存してきた知識を、自然な言葉で検索・活用するための生成AI活用支援サービスです。 既存の管理システムや現在の現場運用を活かした形で導入できるため、新たなツールの操作を覚えるといった、現場への負担を最小限に抑えながらご活用いただけます。 「製造現場ナレッジAI」イメージ図 ■「製造現場ナレッジAI」機能詳細 ① 文書構造を保持 マニュアルや手順書などの文書を、見出しや項目、表の関係性を保ったまま整理・構造化します。情報のつながりを維持したままデータ化することで、生成AIが内容を理解しやすくなり、必要な情報を正確に検索・活用しやすい環境を実現します。 ② 表記揺れの対策(シノニムマップ技術) 現場や人によって異なる呼称や言い回しが用いられている用語を、同じ意味の単語として扱います。例えば、同じ設備であっても現場ごとに異なる呼称や略称が使われる場合、それらを同じ意味として認識することで、表現の違いに左右されることなく必要な情報を検索できます。 ③ キーワードタグ・カテゴリ分類を設計(アノテーション技術) マニュアルやトラブル対応履歴などに対し、「電圧」や「部品交換」といったキーワード単位のタグ付けや、「点検」「修理」などのカテゴリ分類を行います。これにより、必要な情報を見つけやすい環境を実現します。 ④ RAGを活用して回答に根拠情報を付与(RAG:検索拡張生成※4) 登録されたマニュアル等の社内データから関連する情報を検索し、その内容をもとにAIが回答を生成します。回答とあわせて参照元のマニュアル名やページ情報も提示するため、現場の作業者が必要に応じて原文を確認できます。 ⑤ 回答精度を維持するための事前検証 現場で想定される質問と回答をあらかじめ整備することで、AIの回答結果を継続的に確認・評価します。これにより、導入前に検索結果や回答の妥当性を確認できます。 ※4:詳細は「RAG(検索拡張生成)とは」に記載 ・日本のものづくり現場が抱える課題 総務省「労働力調査※5」によると、日本国内の労働力人口は女性就業率上昇や高齢者雇用の拡大、外国人労働者の増加を背景に増加傾向にあります。多様な人材活用が進む一方で、経験年数の違いや担当変更、産育休からの復帰、言語の違いなどにより、必要な知識やノウハウを円滑に共有することが難しい場面も少なくありません。 こうした状況は、製造業全体が抱える技能継承の課題にも表れています。令和8年5月29日に公開された「2026年版ものづくり白書※6」では、多くの製造業企業が技能継承を重要な経営課題として認識していることが示されています。