活動時間の1/4をスマホに捧げる脳は疲れ切っている スマートフォンの通知、絶え間ないオンライン会議、AIとのチャット情報の濁流。現代人の脳は、休まる暇がありません。 現代におけるスマートフォンの1日あたり平均利用時間は約3〜4時間。これは、一般的な睡眠時間を除いた個人の1日の活動時間(約16時間)の約20%〜25%(およそ4分の1)に相当。 また、この長時間の接触は一度に集中して行われるだけでなく、「日常の細切れ時間」の蓄積によって形成されています。 朝:ニュースや天気予報、スケジュールの確認(約15分) 移動・通勤時:SNSの閲覧やメッセージ・メールの確認(約45分) 休憩時:情報検索やWebサイトのブラウジング(約30分) 帰宅後:動画配信サービスやSNS、エンタメコンテンツの視聴(約1時間〜2時間) ※1 出典:博報堂DYメディア環境研究所「メディア定点調査」※2 出典:総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」 マインドフルネスに挫折した音響研究員がたどり着いた「整音」 本書は「おりんの音響研究の本」でありながら、仕事や育児に追われ、心を整える時間が取れない人に向けた、科学的裏付けのある「10秒セルフケア」の本です。 「雑音」は脳を疲れさせます。しかし「整音」は脳を休ませる―国立研究機関・産総研の研究員、添田喜治博士はそう定義します。 瞑想、マインドフルネス、深呼吸。脳を整える方法はいくつもありますが、習慣化するための意志が必要。実際、著者本人も瞑想やマインドフルネスに挑戦したものの、挫折を繰り返してきた経験を持つ。 しかしおりんは違います。叩いて、10秒聴くだけでいい。 仏壇の普及率は1951年の80%から現在40%へと半減し、「チーン」という音を耳にする機会も失われつつある。だが音響学の視点から見ると、この音には現代人が失いかけている何かがある。おりんの音には、脳波を特定の状態へ誘導する「引き込み現象(エントレインメント)」を起こす構造が備わっているのです。 働きすぎの人、多くの情報を扱う人、疲れている人に ・集中できない、休んでも疲れが取れないと感じている人 ・瞑想やマインドフルネスを試したが続かなかった人 ・実家のおりんが気になりながら、意味を考えたことがなかった人 ・効率重視の時代に「ちゃんと整う」方法を探している人 おりんを鳴らすだけでもいいけど、さらに効果を高める方法 おりんは棒で叩いて10秒聴くだけでいい。それだけでも十分な「整音」を実感できます。しかし、国立機関の音の研究の奥深さを知ることで、生活やパフォーマンスの質を高めることができます。 ・おりんだけでなく、音が私たちに与える影響を科学的に理解できる ・自分の状態(集中したい/眠りたい/気持ちを落ち着かせたい)に合わせたおりんの選び方がわかる ・叩く位置、りん棒の素材、置き方の違いが音にどう影響するかがわかる ・今日から家庭で実践できる「整音」の習慣が身につく 妻との死別、そしておりんの音色 添田喜治氏は、国立研究開発法人・産業技術総合研究所(産総研)上級主任研究員。専門は音に関わる環境心理生理学。自動車、航空機、楽器、自然音など1000種類を超える音の質を研究し、有名企業10社以上との共同研究実績、国際論文50件以上、2022年には日本音響学会環境音響研究賞を受賞しています。 おりんの研究のきっかけは、2012年、大阪・池田市の如来寺での調査中に耳にした釈徹宗住職の読経時の「チーン」という音。307個のおりんを集めて収音・分析・研究を続けてきました。 しかしこの本を書いた理由はもう一つあります。 4年前、家族旅行中に突然妻を亡くしたことが本書執筆のきっかけ。博多駅で帰りの新幹線を待つ午後、妻は意識を失い、そのまま帰らぬ人に。それは同時に、高校受験を控えた長女、アトピーと場面緘黙症を持つ次女、知的障害のある長男——3人の子を抱えたシングルファーザーなることを意味していました。 妻の死後、記憶がはっきりしてくるのは、葬儀でのおりんの音を聞いた後から。 「ほんの少しのことですが、なんとかなるような気がして、救われた気がしたのです」 現在も仕事とワンオペ育児で寸分の時間もない生活を送っています。「朝30分早起きして瞑想を」は、時間のない親には届かない。だからこそ「棒で叩いて、10秒聴くだけでいい」。 307個のおりんからわかったこと 本書では、音響学・脳科学・心理音響学の三つの視点からおりんの音を解明しています。。 福井県立武生東高等学校の理科クラブが、ヤフオクで集めた307個のおりんを一つひとつ測定・分析した研究があります。理科クラブとの出会いがおりんの研究を加速させました。外径、縁の厚さ、素材(青銅・真鍮の違い)が音