自動車用部品を一貫して手掛けるグローバル・エンジニアリング企業の株式会社ヒロテック(本社:広島県広島市佐伯区、以下「当社」)は、社内新規事業プログラム「HIROTEC neXt Biz Challenge」(以下、「ヒロチャレ」)第1号案件「牡蠣アップサイクル」プロジェクトとして、近畿大学工学部(広島県東広島市)との共同研究により、広島県(近隣含む)で排出される廃竹材(主に牡蠣養殖いかだ)を主原料とし、石炭コークスに匹敵する「バイオ成型炭」の試作実証に成功しました。 当社が自動車業界で長年培ってきたプレス成形/生産技術と、近畿大学工学部化学生命工学科教授白石浩平の材料開発・原料加工技術を組み合わせることで、既存の石炭コークスと同等の発熱量、ならびに遜色ない高密度のバイオ成型炭を製造することに成功。近畿大学工学部にて試作品の機械特性および燃焼効率の詳細評価を進め、2026年4月末に完了しました。今後は燃焼用石炭への添加によるCo₂削減に寄与し、かつ石炭からバイオマスへの燃料転換時に燃焼効率を補う添加剤として、2026年末までの商品化を目指します。 【本リリースのポイント】 ● 廃竹5,000トンの資源化 広島県内(近郊含む)で排出される約5,000トンの廃竹(主に牡蠣養殖いかだ)を主原料に資源化を目指す ● 石炭コークスに匹敵する性能 プレス成形技術による高密度化を実現。既存の石炭設備にそのまま投入可能 ● 燃焼炉への悪影響を抑制 炉の腐食原因となるカリウム・塩素・ナトリウムを大幅に削減 ● 産学連携による科学的検証 近畿大学工学部にて材料特性/機械特性を評価、2026年4月末に完了 ● 2026年末の商品化を目標 発電事業者・素材産業向けに販売を計画 ● 社内新規事業プログラム「ヒロチャレ」第1号案件第2期生が生み出した事業 自動車部品事業の知見を持つ社員が、ゼロベースで構想・事業化に到達 開発の背景:年間約5,000トンの廃竹と、加速する“石炭回帰”の流れ 広島県は全国の牡蠣生産量の約6割を占める一大産地です。その一方で、養殖に使用される竹製の「牡蠣いかだ」が耐用年数を迎えた後の廃材処理が、地域の大きな環境課題となってきました。牡蠣養殖から排出される廃竹は年間約5,000トンにのぼるとされ、現在そのほとんどが野焼きで処分されており、Co₂排出や近隣への影響が指摘されています。こうした課題を解決すべく、廃棄される牡蠣いかだの原料調達において、広島県漁連、県内漁協と連携して地域循環型事業に取り組んでいる丸栄株式会社の協力を得ることで、バイオ成型炭開発に成功しました。 他方、世界では生成AIの急速な普及によるデータセンター電力需要の急増と、エネルギー安全保障の観点から石炭への依存が短期的にはむしろ強まる状況が続いています。“石炭需要の高止まり”の流れが強まり、IEA(国際エネルギー機関)によれば世界の石炭消費量は2024年に過去最高の約87億トンに達しました。国内でも2026年春、Co₂排出量が一定規模(年度平均10万トン超)の事業者(約300〜400社)を対象とした排出量取引制度(GX-ETS)が本格始動し、企業にはこれまで以上にCo₂排出量の削減が求められています。“石炭をすぐにはやめられない”現実と年々重くなる排出枠コストを両立させる現実解として、既存の石炭設備にそのまま投入でき、燃焼効率を維持しながらCo₂排出原単位を引き下げられる「バイオマス系の補助燃料・添加剤」は、移行期を支える現実的な脱炭素手段として注目されています。 あわせて国内では、自社で削減しきれないCo₂を植林・再エネ事業等のクレジットで埋め合わせる「カーボンオフセット」の活用も、建設・運輸・素材産業に急速に広がっています。環境省の第三者認証を取得したカーボンオフセット製品も相次いで登場するなど、 “実際の脱炭素(リアル削減)+実質的脱炭素(クレジット活用)”を組み合わせてカーボンニュートラルを目指す動きが本格化しています。当社のバイオ成型炭は、こうした“リアル削減”側のラインアップを補強する燃料添加剤として、各業界の脱炭素戦略に直接組み込めるソリューションを目指します。 こうした中、当社は自動車部品事業で培ってきたプレス成形技術を地域の環境課題解決に活用すべく、社内新規事業プロジェクト「牡蠣アップサイクル」を始動しました。近畿大学工学部との連携のもと、廃竹を主原料とし、既存の石炭/石炭コークスに匹敵するバイオ成型炭の実用化に向けた実証実験を進めてきました。 ▲ ヒロテックと近畿大学が共同で試作したバイオ成型炭(φ60mm × L40mm) 実証実験の概要:プレス成形技術による高密度化を実現 2026年2月から3月にかけて、当社のプレス設備を使用し、近畿大学