2026年6月、AI検索は大きな転換点を迎えました。株式会社ナレッジホールディングス(本社:東京都港区)は、本レポートで各社のAI検索にかかわる公開データを整理します。 今月は、GoogleとMicrosoftが、自社サイトが「AIの回答に何回登場したか」を確認できる公式レポートを相次いで公開しました。ある程度が「勘」で語られてきたAI検索対策が、ついに数値で「測れる」段階に入りました。 一方で、米国のGoogle検索のうち68%がサイトをクリックせずに完結する「ゼロクリック」となっていることがわかり、検索の評価軸は従来の「掲載順位」から、AIの回答にどれだけ引用されるかを示す「引用シェア」へと移りつつあります。 1. 今月の主要トピック ── AI検索が「測れる」ようになった ① Google検索コンソールに「生成AI検索」レポートが登場(6/3) Googleは検索コンソール(GSC)に、AI Overviews(検索結果上部のAI要約)とAI Mode(対話型のAI検索)における自サイトの表示回数を、ページ・国・デバイス別に確認できる専用レポートを追加しました。自社コンテンツをAIに使わせないオプトアウト機能も同時に搭載されています。現時点では英国を中心に一部サイトから順次提供されており、クリック数・クリック率はまだ確認できません。 ② 英当局(CMA)がGoogleにアルゴリズム開示を命令(6/17) 英国の競争・市場庁(CMA)が、Googleに対し検索ランキングの透明性・公平性の確保(AI Overviews内も対象)と、検索データのポータビリティを義務づけました。Google任せだった検索の“ルール”に外部の光が当たり始めた象徴的な一手です。 ③ Googleの「情報エージェント」が始動(6/12) 上位プラン(AI Ultra)向けに、ユーザーが検索しなくてもAIが24時間ニュースや価格情報を監視し、変化を要約して通知する「情報エージェント」が提供開始。「検索される前に、AIが情報を届ける」仕組みの始まりです。 図3 検索のKPIは「順位」から「引用シェア」へ 2. データで見る変化 ── 「クリックされない」が数字で確定 SparkToro(Rand Fishkin氏)がSimilarwebのデータを分析したところ、2026年1〜4月の米国Google検索の68.01%がクリックなしで完結していました。検索1,000回のうちオープンなウェブへ届くクリックは276回(2年前は374回)まで減少。一方でAIによるアクセスは急増しており、Fastlyの計測ではAIのリクエストは人間のアクセス成長率の約6.5倍のペースで伸び、Claude関連は1月比で555%超の伸びを示しました。 図1 検索しても「クリックされない」時代へ(出典:SparkToro/Similarweb) 図2 AIが猛烈にサイトを「読みに来る」時代(出典:Fastly) 3. 国内業界の動き ── 対策は、もう始まっている Web担当経験者のうち34.6%がAI Overviews対策を「実施・検討中」と回答(NEXER調べ/対象31名の少人数調査のためn数に留意)。サイバーエージェント・木村賢氏らはAI時代の本質をSEOに加えた「GEO(生成エンジン最適化)」とブランド強化にあると議論し、Faber Companyは「ミエルカGEO・SEO」にAI検索シェアの週次計測を追加するなど、“測る道具”の国産化も進み始めています。 4. 弊社見解 ── 来月以降に注目すべき3点 ① 「引用シェア」のKPI化。GoogleとBingの双方でレポートが整い、AI回答内での引用率をKPIに据える企業が増える。 ② 自己推薦型ランキング記事の終焉。作為的なランキング記事はAI検索に引用されにくくなり、「推薦」と「引用」がより厳格に分離されていく。 ③ 情報エージェントへの最適化。検索前にAIが情報を届ける仕組みの普及で、リアルタイム性の高い情報の構造化が一段と重要になる。 ■では、明日から何をすべきか? 弊社では、以下の3点に気を付けたコンテンツ作りが望ましいという見解を示します。 測る:Bingウェブマスターツールに登録し、AI Performance(特に引用シェア)を確認。GSCの生成AIレポートが来たら即チェックする。 書き方を直す:記事冒頭に40〜60字で結論を置き、表やFAQで整理する。「結論ファースト」はAIにも人にも効く。 ブランドを育てる:クリックが減る時代の最後の砦は「名前で選ばれること」。第三者からの言及・指名検索を増やす投資へシフトする。 ■ 参照した一次情報・出典 ・Google Search Central Blog「Search