株式会社デジタルツイン総合研究所(所在地:東京都港区/島根ラボ:島根県雲南市、代表取締役:黒田 佳吏夫、以下「DTRI」)は、フィジカルAI(現実世界で認識・判断・行動するAI)普及の最大課題である「現場適応」を突破するため、AIが自ら不足情報を発見し、取得し、世界モデルを更新する自律進化型AIアルゴリズムの研究開発を加速していることをお知らせします。 当社の研究開発は、原子力関連施設など人が容易に立ち入れない過酷環境における自律走行ロボット、3D SLAM、点群認識、エッジAI、実機ロボティクスの開発・検証経験を持つ技術者を中心に進めています。暗所や複雑な構造物を含む現場で、ロボットが環境を認識し、移動し、必要な情報を取得するための技術知見をもとに、フィジカルAIを実環境へ適応させるための基盤技術を研究開発しています。 DTRIは、現実世界の産業現場にAIを実装するためには、基盤モデルの性能だけでなく、現場ごとに異なる設備・構造・作業手順・環境変化にAIが適応し続ける仕組みが不可欠だと考えています。 背景:フィジカルAIの普及を阻む「最後の1マイル」 世界では、生成AIの次の大きな波として、ロボットや自律システムが現実世界を理解し、行動する「フィジカルAI」への注目が急速に高まっています。 一方で、基盤モデルやロボット技術が進化しても、実際の産業現場に導入する段階では、依然として大きな壁が残されています。 それが、現場ごとに異なる環境への適応です。 工場、物流倉庫、建設現場、インフラ設備、林業、災害現場など、現実世界の環境は常に変化しています。設備の配置、照明、作業手順、障害物、老朽化、天候、地形、人的オペレーションは現場ごとに異なり、事前にすべての情報を取得・整備することは困難です。 従来は、この現場適応のために、専門人材による大量のデータ取得、環境構築、ラベリング、チューニング、再計測が必要でした。DTRIは、この「最後の1マイル」のコストこそが、フィジカルAIの社会実装を阻む最大のボトルネックであると考えています。 研究開発する技術:AIが「何を知らないか」を自ら判断し、学習に必要な情報を取りに行く これまでのAIは、基本的に「与えられたデータをもとに学習する」技術でした。人間があらかじめデータを集め、ラベルを付け、学習環境を整え、その上でAIが賢くなっていく。つまり、AIの性能は、事前に人間が用意したデータの量と質に大きく依存していました。 しかし、フィジカルAIが向き合う現実世界では、必要な情報が最初から揃っていることはほとんどありません。工場、物流倉庫、建設現場、インフラ設備、災害現場などでは、環境は常に変化し、照明、設備配置、障害物、作業手順、地形、劣化状態も現場ごとに異なります。あらかじめ「必要なデータをすべて集めておく」ことは、現実的にもコスト的にも困難です。 DTRIが研究開発を進めるのは、この前提を変える技術です。AIが与えられた情報を処理するだけでなく、自ら「何を理解できていないのか」「どの情報が足りないのか」を認識し、その不足を埋めるために、次に取得すべきデータ、見るべき場所、確認すべき視点を判断する。そして、ロボット、ドローン、センサー、人間に対して取得指示を出し、得られた情報をもとに世界モデルやデジタルツインを継続的に更新していく。 つまり、DTRIが目指すのは、データ収集そのものをAIの学習ループの内側に組み込むことです。 本技術では、以下のようなループの実現を目指します。 VLM(視覚言語モデル)が現場の設備・構造・作業文脈を意味的に理解する AI自身が、環境理解の不足や不確実性を検出する 不足情報を埋めるために必要な観測地点・視点・対象を自律的に決定する ロボット、ドローン、センサー、人間に対して取得指示を生成する 取得した情報をもとに、デジタルツインやWorld Modelを継続的に更新する 従来のように「人間が集めたデータをAIが学習する」のではなく、AI自身が「学ぶために必要なデータは何か」を判断し、能動的に取得していく。 この構造により、現場ごとのデータ取得・環境構築・運用更新にかかるコストを大幅に削減し、未知環境や変化し続ける現場にも適応できるフィジカルAIの実現を目指します。 弊社開発中のアルゴリズム DTRIはこの技術体系を、能動取得の閉ループ「ASAL(Active Site Acquisition Loop)」として研究開発しています。 初期開発の進捗 現在DTRIでは、ASALの中核となる「環境理解の不足をAI自身が発見し、必要な情報取得行動を生成する自己改善ループ」の初期実装を進めています。 初期検証では、2次元環境上において、ロボットが未観測領域を特定し、その重要度