本資料について 2026年度新入社員研修の受講者712名を対象に実施した「生成AI利用状況アンケート」の結果をまとめたレポートです。 単に生成AIの利用率を示すだけでなく、「AIをどのように仕事や学習に接続するか」「AIと共に考える力をどう育てるか」という観点から、これからの人材育成の論点を整理しています。 配属を終えた新入社員が現場で動き始めるこの時期に、受け入れる側の組織・上司・OJT指導員に何が問われるのかを考える材料として、ご活用ください。 新入社員は、AIを「使っている世代」になった。「使えるか」では、もう差がつかない 生成AIは新入社員にとって「これから導入するもの」ではなく、すでに日常的に使われている前提へと移りました。 生成AI利用状況 利用経験が99%に達した今、「AIを使ったことがあるか」は、もはや個人や組織の差にはなりません。 問われ始めているのは、その先です。 「使える」と「活かせる」は、別の能力です。AI活用の成熟度は、利用頻度だけでは測れません。 AIの受け止め方:多くは「便利なツール」、一部に「パートナー」認識 生成AIの利用が広がる中で、新入社員はAIをどのように受け止めているのでしょうか。今回の調査では、生成AIへの気持ちについても確認しました。 結果を見ると、「便利なツールとして活用したい」が79.1%と多数を占め、「頼れるパートナー・アシスタントとして付き合いたい」は12.2%でした。一方で、「不安や抵抗感があるが、使っていくつもり」は7.7%、「できれば使いたくない・関わりたくない」は0.4%にとどまりました。新入社員にとって、生成AIはすでに特別なものではなく、仕事や学習の中で使うことを前提に受け止められ始めています。 ここで重要なのは、AIを「便利なツール」や「パートナー」などどう呼ぶかではなく、AIを使う場面で、使う側の人間の思考がどのように働いているかです。 たとえば、 ・AIに文章を作らせて、そのまま確認せずに使う ・目的や伝えたいこと、自分の考え方を整理したうえでAIにたたき台を作らせ、壁打ちをしながら仕上げ、最後に自分で確認・修正する これらは、同じ「AIで文章作成をしている」でも、そこで働いている思考の質は大きく異なります。 これからのAI活用で問われること 「丸投げか、共創か」 AIを手元の道具のように扱うか、相談相手のように近くで扱うか―これはAIとの「距離感」の違いです。しかし、活用の質を分けるのは、その距離感そのものではありません。 たとえば、AIを便利な道具として使う場面でも、自分が目的を持ち、AIを整理・比較・検証に使うなら、人間の思考は働いています。反対に、AIを身近な相談相手として使う場面でも、判断や意味づけまで委ねきってしまうと、成果物を仕事の目的に沿って磨き込むことが難しくなります。 AI活用の4つの型 生成AIの価値は、単に作業を速くすることだけではありません。使い方によっては、人が自分の考えを整理し、別の視点に気づき、よりよい判断や表現に近づく助けにもなります。 だからこそ、AIに任せて終わる使い方だけにとどまるのではなく、業務の目的に応じて、人の強みや可能性を引き出す方向にも活用していくことが重要になります。 これからのAI人材育成で育てるべき4つの力 AIがほぼ全員の手元にある前提に立つと、人材育成のテーマは「使い方を教えること」から一段先へ動きます。重要になるのは、AIを使いながらも、人間が目的を持ち、問いを立て、出力を見極め、成果へ仕上げる力です。 1.目的を定める力 AIは、与えられた問いに答えを出すことは得意です。しかし「何を解くべきか」「何のために使うのか」を決めるのは人間の役割です。仕事でAIを活用するには、まず目的を明確にし、どの業務課題にAIを使うのかを定める力が必要です。 2.問いを立てる力 AIの出力は、問いの質に大きく左右されます。曖昧な指示をすれば、曖昧な答えが返ってきます。背景、目的、前提、制約を整理して問いを立てれば、AIは実務に使いやすい答えを返しやすくなります。AI時代には、答えを探すことに加えて、良い問いを立てられることが重要になります。 3.出力を読み解き、判断する力 AIの出力は、常に正しいとは限りません。もっともらしい表現であっても、事実誤認、論理の飛躍、現場に合わない提案が含まれる可能性があります。AIの出力を必要に応じて確認し、自社や顧客の状況に照らして判断する力が必要です。 4.仕事の成果に形づくる力 AIを使って情報を集めたり文章を作ったりすること自体が、成果につながる場合もあります。ただし、より確かな成果にするには、人間が目的に合わせて内容を整理し、相手に伝わる形にし、行動につながるアウトプット