株式会社アジャイルHRと株式会社インテージが共同開発し、東京大学と共同研究を行った「A&Iエンゲージメント標準調査」の全国調査を実施しました。 第1弾、第2弾の速報に続き、今回は業種別の分析結果をお届けします。2年連続トップ独走の「学術研究、専門・技術サービス業」と、2位に躍進した「一次産業」。医師の働き方改革の影響で9位に順位を落とした「医療・福祉」、慢性的な「2024年問題」に苦しむ「建設業、運輸業」、3年連続で最下位の「製造業」の構造的要因を徹底分析します! 1. 調査概要と全体傾向:膠着状態が続くエンゲージメント 株式会社アジャイルHRと株式会社インテージが共同開発し、東京大学と共同研究を行った「A&Iエンゲージメント標準調査」の第4回(2026年版)全国調査を実施しました。本調査は、全国の15歳〜79歳の働く男女10,576人を対象とした、国内最大規模のエンゲージメント動向定点調査です。 2023年から2026年にかけての日本国内の経営環境は、労働力不足の深刻化を背景に「人的資本経営」が企業の持続可能性を左右する中心的課題へと浮上した期間でした。企業は単なる労働時間の削減を超え、従業員の「活力」や「熱意」を引き出し、成果に結びつけるマネジメントの変革を迫られています。 しかし、全体の従業員エンゲージメント指標(ワークエンゲージメントと組織コミットメントの平均)の4年間推移を見ると、2023年2.52、2024年2.59、2025年2.55、2026年2.58と、コロナ後の2024年以降は2.5台後半での横ばい(改善の膠着状態)が続いています。 【図1:エンゲージメント指標および3つの仕事の資源(仕事・職場・会社レベル)の4カ年推移(2023〜2026年)】 2. クラスター分析:16業種は3つのグループに分類される 2026年調査では、エンゲージメントを左右する組織の内的要因を分析するため、新たに「心理的安全性(発言のしやすさ)」「キャリア展望」「人材投資への積極さ」「AIツールの活用機会」の4つの追加設問を導入しました。 業種平均との相関を見ると、「心理的安全性」および「キャリア展望」はエンゲージメント値と強い正の相関を示しました。 【図2:16業種別従業員エンゲージメントとキャリア展望のマッピング】 一方、「人材投資」「AI活用機会」において明確な相関が見られませんでした。これは、人材投資やAI活用の度合が「業種構造の特性」に強く依存しているためです。たとえばIT業界や金融業界はシステム・人材投資が極めて高い一方で、手厚い投資を行っても組織への愛着(組織コミットメント)に必ずしも直結しないという特徴があります。 これら5つの指標を基に16業種を分析した結果、日本の産業界は以下の「3つのクラスター」に分類されます。 クラスター1(自律・マネジメント主導型): 心理的安全性、キャリア展望、エンゲージメントが最も高いグループ(学術研究、教育、不動産、一次産業、その他サービス等)。組織風土面での土台が備わっており、投資によって更なる向上が期待できる。 クラスター2(投資先行・エンゲージメント不足型): 人材・AI投資は高いが、心理的安全性、キャリア展望、エンゲージメントは中程度(情報通信、金融・保険、公務)。投資が先行しているが組織マネジメントの質が追いついていない。 クラスター3(投資不足・エンゲージメント低迷型): すべての指標において最低水準のグループ(製造、運輸、小売、宿泊・飲食、建設、電気・ガス、生活関連、医療・福祉等)。外的変化による現場負荷としわ寄せが、現場組織を疲弊させている。 【図3:16業種別従業員エンゲージメントと人材投資への積極さのマッピング(3つのクラスター)】 3. 16業種別エンゲージメント動向と外部環境要因 以下では、16の個別業種における2023年〜2026年の従業員エンゲージメント推移、2026年の現状、およびその背景にある「外的な環境要因」「業種特有の構造的な課題」について記述します。 ◆ クラスター1:自己裁量と成果実感が牽引する高エンゲージメントグループ ① 学術研究、専門・技術サービス業(2026年スコア:2.95 / 第1位 / 4年増減:+0.29) 4年間でスコアを+0.29ポイント伸ばし、圧倒的なトップを独走。最大の資源は「仕事のコントロール=裁量(全体平均比+0.53)」です。一方、同僚のサポートが-0.23と低く、「ソロワークのプロフェッショナル集団」という課題を抱えています。 ② 農業・林業・漁業、鉱業・採石業・砂利採取業(スコア:2.80 / 第2位 / 増減:+0.17) 4年間で大きくスコアを伸ばし2位へ躍進。「仕事のコントロール(全体平均比+0.29)」や