早稲田大学ベンチャーズ株式会社(以下「WUV」)は、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのバイオエンジニアリング学部発のスピンアウト企業であるNeubond社に対し、シードラウンドで100万ポンド(約2.2億円)の投資を実行しました。本ラウンドの総額は150万ポンドで、WUVがリード投資家を務め、SFCおよびNew Wave Venturesも参加しています。WUVにとって、Neubond社への投資は英国企業への初の投資案件となります。 事業概要 Neubond社は、インペリアル・カレッジ・ロンドンのバイオエンジニアらにより創業されたニューロリハビリテーション・スタートアップです。同社は、脳卒中患者が運動機能回復を支援する自宅でリハビリを継続できるよう支援するウェアラブルデバイスとモニタリングアプリを開発しています。 Neubond社のデバイスは、筋活動を検出し、患者が「動かそうとする意図」を可視化することで、脳と筋肉のつながりの再構築を支援します。臨床医はアプリを通じて、患者のリハビリテーション・プログラム、運動実施状況、筋収縮の質、介入への反応を把握することができます。 この技術は、共同創業者であるDario Farina教授が主導してきた神経力学および神経可塑性に関する世界水準の研究を基盤としており、筋活動を高精度に検出する微小センサーを搭載したコンパクトなウェアラブル・ブレスレットを中核としています 同社のプラットフォームは、患者が自分では動きが見えない、または感じ取れない場合でも、「動かそうとする意図」と筋活動とのつながりを再構築することを支援します。患者はアプリを通じて自身のリハビリの進捗を確認でき、医師は患者の運動実施状況や筋収縮の有効性などを把握することで、より質の高いリハビリテーション支援につなげることができます。 投資の背景 脳卒中患者は、運動障害、筋力低下、バランスの問題などに直面することがあります。リハビリテーションは継続的かつ集中的な取り組みを必要とする一方、医療現場の人員や時間には制約があり、患者が自宅で質の高いリハビリを継続できる仕組みの重要性が高まっています。 Neubond社は、ウェアラブルデバイスとアプリを組み合わせることで、患者のリハビリ努力を可視化し、臨床医による遠隔での進捗把握を可能にします。これにより、在宅環境におけるリハビリテーションの質と継続性を高め、患者と医療者の双方を支援することを目指しています。 WUVは、Neubond社が有する神経科学・バイオエンジニアリング領域の深い研究基盤、患者・臨床医双方の課題に向き合うプロダクト設計、ならびに日本を含むグローバル市場での社会実装可能性を高く評価し、今回の投資を決定しました。 Neubond社はこれまで、ERC Proof-of-Concept助成金を含む72万ポンド超の助成金を活用し、デバイス開発、パイロット臨床研究、ユーザーテスト、臨床医からのフィードバック取得を進めてきました。同社が実施した15名の患者を対象とするパイロット研究では、1か月の介入後、利用者の可動域が30%改善したことが示されています。 今回調達した資金は、製品開発の最終化、安全基準への適合、英国MHRAによる医療機器認証の取得に向けた取り組み、ならびに今後の臨床研究に活用される予定です。 共同創業者 Dr. Patrick Sagastegui氏 Co-Founder, co-CEO 生体工学分野でBEng、MRes、PhDを取得 事業開発および業務運営を統括 神経リハビリテーション分野で7年の経験 電子機器設計分野で9年の経験 「脳卒中リハビリテーション・プラットフォームの最終製品開発および規制承認に向けて進むなか、専門性の高い投資家の皆さまと協力できることを大変うれしく思います。今回の資金調達により、当社のデバイスを患者さんや臨床医の手に届け、実際の現場でプラットフォームがどのように機能するかについて、より多くを学ぶことができます。」 柏倉淳平氏 Co-Founder, co-CEO バイオエンジニアリング修士(MEng, MSc) 製品開発および薬事戦略を統括 トヨタ自動車にて5年間の勤務経験 神経リハビリテーション分野で6年の経験 生命を脅かす疾患を自ら経験 「脳卒中患者にとってモチベーションは極めて重要であり、私たちの使命は患者さんに希望を届けることです。当社のプラットフォームは、シンプルで効果的なバイオフィードバック機構を用いることで、患者さんが自身のリハビリ努力の成果を確認できるようにします。」 共同創業者のDr. Patrick Sagastegui氏(左)、柏倉淳平氏(右) 早稲田大学との連携 Neubond社のアドバイザーに早稲田大学の石井