考古学や建築史など複数分野の研究者が特定地域の16世紀~17世紀について研究を深める「1617会」が、初めて岐阜県飛騨市で開催されます。 飛騨地域が自治体の垣根を超え、調査を進めたことで16世紀~17世紀の状況が新たに浮き彫りとなり、普段は関西を中心に活動する研究会を7月5日(日)に初めて飛騨で開催します。 今回は「城郭と城下町」をテーマに、各自治体の専門家らが最新の調査成果を報告・討論します。 江馬氏城館跡(下館跡) 調査・研究が進む「飛騨の中世」~なぜ今、飛騨市で開催されるのか? 岐阜県北部に広がる飛騨地方は、史料の少なさから中世の歴史が十分に解明されていない地域の一つでした。しかし近年、各自治体による発掘調査や歴史地理調査などが進んだことによって、戦国時代から近世へと移り変わる飛騨の姿が少しずつ明らかになってきています。 本研究会では、現在の飛騨市・高山市に存在した城郭や城下町に注目し、中世後期から近世への地域社会の変化を探ります。飛騨市域を拠点とした江馬氏や姉小路氏、三木氏の動向に加え、豊臣政権のもと飛騨へ進出した金森氏による城郭・城下町経営についても取り上げます。 戦国大名が最後まで成立せず、豊臣政権による外部からの影響を受けて近世化が進んだ飛騨国。その独自の歴史は、全国の類似地域を考えるうえでも大きな示唆を与えるかもしれません。 飛騨市 古川城跡調査風景 高山市 松倉城跡調査風景 飛騨市では、観光と連携した山城ガイドの育成やイベントへのブース出展、「飛騨の城めぐりマップ」の作成など、より多くの方々に山城の価値を共有するための活動に力を入れています。 地域の歴史を明らかにすることだけでなく、調査・研究によって歴史的事実を積み上げていくことが、山城をはじめとする文化財を「地域の誇り」として高めていくことに繋がると考えています。飛騨市で研究会を開催することにより、こうした活動がより活性化されることを目指しています。 飛騨市公認の「山城ガイド」によるツアーを開催 飛騨の城めぐりMAPを今春発行道の駅に戦国ロマン「山城」コーナーを開設 研究会の概要 開催概要 日 時:7月5日(日) 会 場:飛騨市役所 西庁舎3階 大会議室(岐阜県飛騨市古川町本町2-22) 申 込:不要 参加費:資料代(数百円程度) スケジュール ◆ 第一部:事例報告(9:00〜12:00) 9時00分~9時50分:報告1 大下永氏(飛騨市教育委員会) 「文献史料と地理的変遷からみる飛騨地域の16・17世紀」 9時50分~10時40分:報告2 三好清超氏(飛騨市教育委員会) 「姉小路氏城跡・江馬氏城館跡の発掘調査と飛騨の中世遺跡の変遷」 (休憩) 10時50分~11時40分:報告3 押井正行氏(高山市教育委員会) 「松倉城跡の発掘調査成果」 11時40分~12時00分:コメント 内堀信雄(岐阜市文化財保護課) ◆ 第二部:討論(13:00〜15:30) 13時00分~15時30分:討論 パネラー:大下氏、三好氏、押井氏 司会:大阪公立大学大学院教授 仁木宏氏 討論テーマ「飛騨地域の16・17世紀」 詳細を見る 1617(いちろくいちなな)会とは 中世・近世の移行期にあたる16世紀~17世紀初頭の都市の歴史を検討対象とした研究会です。文献史学、考古学、建築史、歴史地理学など、多様な分野からの学際的な研究を目的としています。2000年以降、大阪公立大学大学院の仁木宏教授を中心に、関西を拠点に継続的な活動を行っています。 研究会でも取り上げる飛騨の城跡・城下町 ■価値が明らかになった飛騨の城跡 現在の飛騨地域(飛騨市・高山市・下呂市・白川村)は、古代から一貫して「飛騨国」という一つの国でした。戦国時代には姉小路氏・三木氏・江馬氏・内ケ島氏など、戦国武将がそれぞれの領域を治める群雄割拠の状態でした。 それらの武将が築いた城跡が、飛騨地域には多数残り、中には近年の調査研究によって新たな発見があった城もあります。調査・研究によって、各城跡や周囲の城下町の価値は更新され続けています。 ① 姉小路氏城跡(あねがこうじししろあと)/飛騨市 飛騨市古川町を中心に分布する山城群です。古川・国府盆地を取り囲む山々に点在する5つの山城(古川城跡・小島城跡・野口城跡・向小島城跡・小鷹利城跡)で構成されています。 各山城の発掘調査成果から、中世の飛騨古川を治めた姉小路氏、三木氏、金森氏の3領主の支配の移り変わりが、山城の改変の痕跡として残されていることが分かりました。また、明治期の地籍図を用いた歴史地理調査により、城下町の構造や変遷なども明らかになりました。 古川城跡2時期の石垣 ② 江馬氏城館跡(えましじょうかんあと)/飛騨市 江馬氏城館跡は、岐阜県飛騨市神岡町にあります。拠点となる