会場いっぱいの約80人が聴講した坂井市龍翔博物館のスペシャル歴史教室「安島王国第1回「安島言葉の世界」=2026年6月14日 安島では「く」が「ff(ふ)」に。「あつくるしい」→「あつっふぁしー」 福井県坂井市の名勝地・東尋坊に近く、神の島「雄島」を眼前に見る集落・三国町安島(あんとう)区の民俗や芸能、自然などのユニークさに焦点を当てたスペシャル歴史教室「安島王国」が6月14日、同市の龍翔博物館で開かれた。教室はシリーズとして年度内に4回開催の予定。初回のこの日は「安島の方言」がテーマで、子音が重なる発音の仕方が、沖縄(琉球)の発音と共通点があり、研究者によると「子音を重ねる発音の仕方は、日本本土でここだけ」と言う。独特の言葉の背景には、近世に栄えた海運業や漁業の影響もあるともされる。教室には関心のある約80人の聴講者を前に、地元女性ら2人による、普段使いの生活場面の対話の実演も行われ、そのユニークさから会場は笑いに包まれていた。また、笠松雅弘館長からは「安島弁は十分に文化財。安島弁保存会をつくって、後世につたえてほしい」と保存活動の重要性を訴える提案もなされていた。 笠松館長「安島弁は十分に文化財、ぜひ地元で保存活動を」 「安島王国」は同博物館が、地域に残るユニークな文化、民俗を地域住民とともに深掘りするシリーズの企画で、1回目のこの日は「安島言葉の世界」がテーマ。安島在住の区民ら10人余りで実行委員会をつくり準備してきた。 はじめに笠松雅弘館長が、北陸の方言に詳しい言語学者の論文の例文などを引用しながら、安島弁のユニークさを解説。「安島弁の珍しさは、名詞や動詞などの単語がほかと違うということでなく、発音の子音が重なる、重子音という使い方が大変、変わっている」と語った。 さらに実際に安島生まれで地元育ちの小針悟さん(68)が、普段使われる例文をネイティブの安島弁で披露した。例えば「まくら(枕)」は「まっふぁ」や「さくら(桜)」は、「さっふぁ」のように「く」が、「f」を重ねる「ff(ふ)」になると発音例を紹介、例文にある会話フレーズの読み方では、「はよ しぇな しがっふぇっど(早くしないと日が暮れるよ)」との独特の発音となる。また「かんのけなごなって、あつっふぁしー、あつっふぁしー(髪の毛が長くなって、暑苦しい 、暑苦しい)」などと紹介していた。 このほかの重子音では、「白い」は「そい(ssoi)」や「真っ白」を「まっそっそ(massosso)」など、 「油」を「あっば(abba)」、「油げ」を「あっばげ(abbage)」などと「ss」や「bb」の例も紹介されると、会場から「まるで外国語みたい」と感嘆の声が上がっていた。 ネイティブな安島弁をすらすらと生声で披露した小針悟さん(中央)右が、進行役を務めた地元の坂本浩幸さん。左は笠松雅弘館長。 ネイティブな安島弁や安島言葉が紹介されると、会場からは笑いや拍手が起こった。 進行役で安島在住の坂本浩幸さん(53)も、集落での普段使いの安島言葉を紹介。「自分」を「んだ」、「わが家」を「んだこ」、 「海の水」は「おっしょ」、「調子がよくない」を「あんにゃかんべ」など…「漁師町なので、海女文化や海運文化の影響もあるのではないか」と推察しながら、ウニを「がんじょ」と言うなど魚介類にも独特な呼び名がある、と紹介。 また各戸の屋号では「すなや」、「よそもん」、「こざかや」など一風変わった呼び名があることも紹介された。独特の感嘆詞「め」の使い方でも「普通に驚くときは『めっ』と言いますが、ちょっと驚くと『めめっ』、もおっと驚くと『めめめめっ~』と言います。このように、安島人は普段から感情あふれる言葉遣いをしている」と解説した。 こうした安島言葉の独自性について、笠松館長は「大変、貴重だ」としたうえで、「どうでしたか?皆さん。僕は聴いているうちに、本当に安島弁が大好きになりました。方言は一度無くなると、元に戻らないものですから、なんとか、安島の人が中心となって、安島弁を守っていく運動を起こしてほしいな、と思います」と保存活動を提案していた。 北陸方言の専門家、松倉金沢大講師が発言「独特の重子音、本土でここだけ」 また第2部では、ネイティブな安島弁を肌で感じてもらおうと、海女らによる会話を設定し、日常会話の実演も行われた。安島生まれの坂本洋子さん(78)と石黒幸美さん(43)の2人が雄島集落でばったり会って、世間話をする様子を実演すると、先ほど紹介された感嘆詞「めっ」「めぇ~」の使い方が生声でしっかり使われ、会場からは「なるほど〜」と納得する一方、2人の熱演に盛んな拍手も起きていた。 最後に会場とのやり取りでは、北陸地方の方言を研究している金沢大学講師の松倉昂平氏(34)が飛び入り発言。「僕の研究した安