日本をルーツに持ちながら、アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリアの異なる国や地域で活動・研究を続ける若手アーティストたちが、作品を発表します。異なる文化背景や専門領域を持つ5名の奨学生が自ら企画・運営を行い、「私たちはいつ、何に帰属意識をもつのか?」という問いを起点に、現代のなかで揺れ動く個人の感覚を見つめ直します。ぜひこの機会に、若手アーティストたちによる多層的な視点にご期待ください。 本企画の見どころ ・海外有名美術大学で学ぶ、若手アーティスト5名の作品を一挙に紹介 ・「漂進」を起点に、現代の中で揺れ動く個人の感覚や価値観を探る作品群 ・アーティスト、キュレーター、ヴォーカリストなど多彩なゲストを招いたイベントを開催 開催概要 [ 会期 ] 2025年7月29日 (水) 〜 8月09日 (日) 12:00-19:00 会期中無休 [ 会場 ] AWASE Gallery 入場料無料 展覧会について 2025年に開催された前回展「回帰観測」に続く本展では、公益財団法人江副記念リクルート財団の支援を受け、アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリアで活動を続ける5名のアーティストが参加。彫刻、写真、サウンドアートなど多様な実践を通して、それぞれの経験や環境、他者との出会いが、どのように制作や視点を形成しているのかを提示します。 本展は、「私たちはいつ、何に帰属意識をもつのか?」という開かれた問いから始まります。本展において帰属意識とは、固定された単一の属性としてではなく、それぞれの記憶、価値観、関係性、社会的背景の積み重なりによって形づくられるものとして捉えられています。参加作家たちは、それぞれがなぜ今ここに立っているのか、その背景にある経験や感覚を見つめ直します。異なる文化や社会のなかで生活し、制作を続けることは、必ずしも明確な答えや安定した帰属意識を与えるものではありません。むしろその過程で、互いに共有しえない差異と、予期せぬ共通性の両方が浮かび上がります。本展では、「自分にとって何が重要なのか」を問い直すことを通して、個人を形成する複雑で重層的な条件について考察し、さらなる制作への発見点とします。 タイトル「漂進」は、確かな足場を持たないまま、それでもなお進み続ける状態を示しています。水が異なる環境を通り抜けながら、その場所の痕跡を帯び、かたちを変え続けるように、作家たちの実践もまた、土地や経験、他者との出会いを内包しながら変化し続けています。本展は、不確実さを解消することではなく、その複雑さや揺らぎのなかを進み続ける過程そのものに目を向けます。それぞれ異なる軌跡をもつ作家たちの実践を通して、本展が移動、記憶、環境、そして日常的な経験によって形づくられる現代のあり方について考える契機とします。 アーティスト 鈴木理紗 / Lisa Suzuki 2006年生まれ。 シドニー大学カレッジオブアートに在学中。異なる文化と言語を往来し、アイデン ティティ、文化、社会構造といったテーマを探求している。自分個人の視点やバックグラウンドによる先入観が作品に激しく影響せず、自身の見解に共感しない人にも伝わる方法を模索していきます。 富田ネオ / Neo Tomita 2003年生まれ。 都立総合芸術高校美術科彫刻専攻を10期生として卒業後渡英し、 ロンドン芸術大学 セントラル・セント・マーチンズ ファインアート学科3D専攻に在籍中。 彫刻を主な制作媒体としている。 現在は史や私の主観自体から排除されている例外・逸脱的なものを滑稽 〈的〉であると認めた上で、 それを聖なる/美的なものとしての表現に取り組んでいる。 それの実践として に関する制作もしている。 中岡尚子 / Hisako Nakaoka 1999年生まれ。 ベルリンと東京を拠点に活動。人は音をどのように聴き、感得するのかを考える。主に録音再生技術の作為や虚構性に関心を持ち、空間や時間、他者とのコミュニケーションを音を通じて身体的に捉える。近年は、私たちがお互いに他者であるという実感を音響的に探求し制作。東京藝術大学音楽学部音楽創造環境科卒業。ベルリン芸術大学サウンドスタディーズアンドソニックアート修士課程に在学中 平石幸一ラファエル / Koishi Raphael Hiraishi 2005年生まれ。ウクライナと日本の両方にルーツを持ち、広島県民という背景から、現代社会、平和、アイデンティティをテーマに扱う。さまざまなテーマを伝えたいと考える中で、一つの媒体にとらわれたくなく、意図に合わせて彫刻、インスタレーション、映像、グラフィックなど、さまざまな表現媒体に挑戦している。 山田誠人 / Masato Yamada 2003年生まれ。都市空間や物質に埋め込まれたイメージ