公益財団法人宝塚市文化財団(兵庫県宝塚市)は、宝塚市在住の造形作家・星野尚(ほしの たかし、1955-)の制作活動45年を振り返る展覧会「星野尚 木の絵画タラセア 45年の歩み」を、2026年7月17日(金)から8月23日(日)まで、宝塚市立文化芸術センターで開催します。 《アルバイシン(塔)》70×55.5cm 2025年 星野尚(ほしの たかし)は、1977年にスペインへ渡航し、1978年からスペインの美術学校で造形表現の基礎を培いました。約5年間の留学を経て帰国後、本格的にタラセア技法による作品制作を始めます。 イスラム文化圏で発展した象嵌(ぞうがん)や寄木(よせぎ)による装飾文化の流れを背景の一つとし、ヨーロッパの木工装飾と響き合いながら発展したタラセアは、幾何学的な構成を中心とした装飾として広まり、王宮や教会の天井、壁、扉などに精緻な意匠が施されています。その後、風景や人物などを取り入れた表現へと拡張されていきました。 星野はこの伝統技術を受け継ぎながら独自の工夫を重ね、新たな表現へと展開させてきました。作品にはチークや桜、ケヤキ、ブナ、縞黒檀(しまこくたん)など約80種類の木材が用いられています。木材には着色を施さず、それぞれの色彩や木目、質感を活かしながら画面を構成することで深みのある表現を生み出しています。さらに焼き画の技法を取り入れ、繊細な陰影によって風景の温度感まで描き出しています。 このような制作への探求の先に確立された技術は、スペインや日本といった枠組みを超え、星野ならではの表現として結実しています。本展では、本格的な制作を開始して間もない1987年の作品から、本展で初公開となる2026年の最新作まで、約160点を超える作品や関連資料を一堂に展示します。また、制作の過程を紹介する展示や実際に触れることのできる作品もあり、作品の魅力をより身近に感じられる内容になっています。 みどころ 約45年にわたる技術と表現の探求をたどる 本展では、1987年の初期作品から最新作まで約160点を通覧することで、星野が45年にわたり追求してきた技術と表現の変遷をたどることができます。 初期作品では、日本文化に由来する空間イメージを基盤に、さまざまな象徴的モチーフを自在に配置しながら、独自の表現世界を模索した軌跡を見ることができます。当時の星野は、「目の前の対象を写真のように忠実に描くことは単なる再現にとどまるのではないか」という問いを抱き、自身の表現を模索していました。 その後、対象を徹底して描くことの先にこそ再現を超えた表現があると考えるようになり、写実表現と正面から向き合います。木材の反射によって生まれる立体感や奥行き、一つひとつ異なる木目の表情を表現に取り入れることで、対象の存在感を豊かに表現する独自の手法を確立していきました。さらに、焼き画の技法を用いて濃淡をつけることで、繊細な陰影表現を実現しています。 近年では、「どこまで技術を高めることができるのか」という問いのもと、より精緻で、対象がもつ温度や質感までも伝える表現を追求しています。徹底した作り込みの積み重ねにより生まれた作品は、スペインや日本といった枠組みを超え、星野ならではの表現として結実しています。 本展初公開となる最新作2点を展示します 《屋根(アンダルシアの白い村-2)》および《ボートレース》最新作2点を本展で初公開し、現在の表現の到達点を示します。 作品制作過程の紹介や触れる作品の展示など、多様な視点から理解を深める 作品制作過程の紹介や触れる作品の展示などを通して、完成作品だけでは見えない制作の背景や素材の特性が明らかになり、理解がより深まります。 作家プロフィール 星野 尚(ほしの たかし) 1955年兵庫県生まれ。 高校卒業後、渡辺宏氏に師事。1978年にスペイン・コルドバの美術学校「ESCUELA DE ARTES APLICADAS Y OFICIOS ARTÍSTICOS“MATEO INURRIA”」に入学。 1981年に卒業後、帰国してからは山内宥厳氏に師事。その後タラセア作家として活動を開始し、2026年で制作活動45年目を迎える。宝塚市在住 関連企画 コンサート「吉川二郎 コンサートフラメンコギターとギタルパの調べ」 星野尚による装飾が施された吉川二郎発案の楽器ギタルパと、コンサートフラメンコギターの音色をお届けします。 ・8月1日(土)14時開演 ・会場 宝塚ベガ・ホール ・出演 吉川二郎、野口久子 ・チケット発売日 6月19日(金) ・料金 一般 2,000円(当日券2,500円) 友の会(タカラティエ) 1,500円 ※コンサートチケットのご提示で展覧会を無料でご鑑賞いただくことができます 2. ワークショップ「木片でつ