リテールAI協会は、複数小売企業のデータを横断的に統合・分析する実証実験「ユニファイドデータプロジェクト」を実施いたしました。今回の実験は、自社データのみでなく、他社データと合わせて業態を横断し、相対的に分析を行うことでお客様の解像度を高め、効果的な打ち手を導き出す目的で行われました。本プロジェクトでは、2社の業態の異なる小売企業にご協力いただき、同一エリア内にある店舗の25ヶ月分のID-POSデータおよび各種マスタ(属性・カテゴリーなど)をご提供いただいて実験を実施しています。 本プロジェクトには以下の企業が参加しています。 ・ 株式会社アドインテ(ID統合、データ分析) ・ 株式会社ブレインパッド(データ分析) ・ 日本マイクロソフト株式会社(開発支援、技術支援) ・ 小売チェーン2社(25ヶ月分の各種データの提供) 本取り組みでは、複数小売チェーンのID-POSデータ等をセキュアな環境で統合し、横断的な顧客分析を実施しました。これにより、単一チェーンでは把握できなかった価格弾力性や価格帯別購買傾向など、新たな知見を獲得することができました。 ■ プロジェクト概要 名称:ユニファイドデータプロジェクト 主催:一般社団法人リテールAI協会 参加企業: 株式会社アドインテ 株式会社ブレインパッド 日本マイクロソフト株式会社 小売チェーン2社 目的: 自社だけでなく他社データも含め、業態を横断して相対的に分析を行うことで、お客様の解像度を高め、効果的な打ち手を導き出す。 実験の経緯: 各社用のAzure Databricks環境を作成し、Databricks Clean Rooms機能を用いて本プロジェクト用のデータクリーンルームを構築しました。各社のPOSデータに広告識別子および共通カテゴリーを付与することで、リテール横断のID-POSデータセットを整備しています。これらのデータクリーンルームの構築およびデータセットの整備は、アドインテが担当しました。分析については、参加企業での協議の結果、「買上点数の向上」をアドインテ、「買上単価の向上」をブレインパッドが主担当として分担し、両社連携のもと進めています。 実験結果の概要: 共通利用客の購買データから、買い物の「目的」や「傾向」に基づき、異なる8つの顧客グループ(クラスタ)を分類。顧客は各店舗を目的別に「メイン店舗」として使い分けていることが判明しました。また、クラスタごとの併売リフト値を分析することで「ついで買い」を促進するカテゴリーを導出しました。さらに、いずれのクラスタにおいてもヘビーユーザーは1店舗で多種多様な商品を買う傾向がある一方、ライトユーザーが多く購入する食品類は価格弾力性が高いカテゴリーであるため、競争力のある価格設定によりライトユーザーの来店頻度を向上させる余地があることが示唆されました。 今後の展開: 今後は分析の深掘りを進めるとともに、新たな流通企業やメーカーの参加を募集し、複数チェーン間での施策の実行可能性の検討や、実際の販促施策への展開を目指します。また、リテールAI協会主催のセミナー等で、本実証実験の成果発表を行う予定です。 ■ 参加各社からのコメント 【一般社団法人リテールAI協会】 リテールAI協会は、2025年10月の協会化を機に「実装と成果」を重視する活動へとステージを進めてまいりました。本実証実験は、業態の異なる複数の小売企業がプライバシー保護を最優先としながら協働してデータを統合・分析するという、これまでの分科会活動の中でも象徴的な取り組みです。「流通を科学する」というビジョンのもと、競争と協働を両立させながら業界全体の知見を積み上げていく、日本の流通業界における重要な一歩であると考えております。協会として、本実証から得られた成果を業界全体で共有・標準化していくべく、引き続き取り組みを支援してまいります。 一般社団法人リテールAI協会 代表理事 林 拓人 【株式会社アドインテ】 アドインテは、2025年に日本の流通小売業として初となるドラッグストア向けデータクリーンルームを構築して以来、リテールメディア領域における安全なデータ活用基盤の社会実装に取り組んでまいりました。本実証実験は、これまで単一企業内に閉じていたデータクリーンルームを、業態を越えた複数小売の協働分析環境へと進化させる、新たな挑戦です。プライバシーを厳格に保護した環境で、これまで見えなかった消費者の購買行動を理解することで、メーカー・小売・消費者の三者にとって意味のある価値創出を実現してまいります。本実証で得られた知見を、当社が推進する「次世代リテールデータプラットフォーム」のさらなる進化につなげてまいります。 株式会社アドインテ 事業本部 分析オペレーションDiv. ゼ