一般社団法人ラーニングイノベーションコンソシアム(LIC/本部:東京都中央区、代表理事:川口泰司)は、高等教育機関発の革新的な学習・教育研究を表彰する「ラーニングイノベーショングランプリ2026(略称:LIGP2026)」の各賞受賞者を決定しました。2016年の第1回から数えて節目となる第10回大会で、最優秀賞には熟練エンジニアの“感覚知識”を距離を超えて伝承する北陸先端科学技術大学院大学・ものつくり大学の研究が選ばれました。受賞者プレゼンテーションと表彰式は2026年7月14日、東京国際フォーラムで開催します。 ■開催の背景と目的 ―― 学術の研究成果を、社会実装へ LIGPは、教育工学領域のアカデミズムが生み出す優れた研究成果や知見を、研究室の中にとどめることなく広く産業界へ橋渡しし、大学発の研究を社会実装へとつなぐ機会を創出することを目的としています。 その背景には、日本の教育産業をめぐる構造的な課題があります。企業内教育や人的資本管理を支えるeラーニング・ラーニングテクノロジーといったICTツールの分野では、現状、海外発のサービスが優勢な状況が続いています。日本の教育産業を活性化し、領域を担う教育工学の専門人材を育てていくためには、学術界と産業界が知見と課題を持ち寄る産学連携の枠組みが不可欠です。 LIGPは、革新的な学習・教育環境を研究する高等教育機関と、教育・人材育成に関わる企業との出会いの場を広げる「産学のブリッジ役」として機能してきました。第10回を迎えた本大会も、若手研究者・学生の挑戦を産業界に接続する場としてその役割を担います。 ■応募研究の傾向と審査のポイント 二次審査に進出した全国の大学・大学院の13チームには、近年の教育研究の潮流が表れました。 • 生成AIを「どう使いこなすか」を問う研究の台頭:過半のチームが生成AIを研究の中核または主要な構成要素として活用。AIに作業を任せる段階から一歩進み、AIを方向づける力・協働する力、メタ認知、「分かったつもり」の検知など、AI時代に人間が育むべき学びの質そのものに踏み込むテーマが目立ちました。 • 多様化する学習支援テクノロジー:VR・メタバースを用いた対人訓練や協働学習、触覚・身体知(ハプティクス)の伝承、脳波を用いた適応的な学習制御、ラーニングアナリティクス、教育データの相互運用(LTI)など、技術的アプローチは多岐にわたりました。 • 「技能・感覚の継承」という産業直結のテーマが最高評価:最優秀賞の研究は、熟練技能者の暗黙知をいかに記録し次代へ伝えるかという、日本の産業界が直面する大課題に挑むもの。技能継承のDXとして企業導入の可能性が高く評価されました。 <審査について> 二次審査では、9名の審査委員が各研究を、(1)産業界から見た独創性・斬新性、(2)社会的価値〔a.教育・学習に与えるインパクト/b.発想スケールの大きさ/c.実用化された際の波及効果〕を採点。技術的な新規性だけでなく、社会実装と産業への波及効果を重視する評価軸が特徴です。 ■受賞結果 【最優秀ラーニングイノベーション賞(ジンジャーアップ賞)】 ・「エンジニアの感覚知識」を距離を超えて伝承: E-learning by Doing 北陸先端科学技術大学院大学・ものつくり大学/長谷川&武雄 Lab 【優秀ラーニングイノベーション賞】 ・ラポール形成プロセスを再現する生成AI児童アバターを用いたVR健康相談訓練システム 崇城大学・西南女学院大学・大阪教育大学・九州大学/ラポリタン ・FocuSpeed: 脳波に基づいて再生速度を適応制御する音声学習支援システム 東京大学大学院/Amelab M2 【奨励賞】 ・AIに作らせる学習から、AIを方向づける学習へ:バイブコーディングにおける創造的意図形成の可視化と適応的学習支援システム 関西外国語大学/卯木研究室バイブコーディングチーム ・学習者中心のラーニングアナリティクスを実践するワークショップLA4Uの設計と評価 京都大学/エビデンス駆動型教育研究協議会 Student SIG チームLA4U 【特別賞:株式会社イーラーニングEduAI賞】 ・概念マップとルーブリックを統合した対話型学習支援モデルに関する研究 公立千歳科学技術大学大学院/小松川研究室 アドバイジングシステムチーム 【特別賞:サイコム フロンティアテクノロジー賞】 ・「エンジニアの感覚知識」を距離を超えて伝承: E-learning by Doing 北陸先端科学技術大学院大学・ものつくり大学/長谷川&武雄 Lab ■実行委員長コメント 「第10回を迎えた本大会には、生成AIをはじめとする先端技術を、いかに人の学びの質を高めるために活かすかという、若い世代ならではの鋭い問