大阪府高槻市の北部、まちなかのにぎわいから少し離れた山あいに、樫田地区があります。 高槻市街地から車を走らせると、住宅地の景色は少しずつ里山へと変わっていきます。山に囲まれた集落、季節ごとに表情を変える田畑、昔から地域で守られてきた農地。高槻に暮らす人にとっても、樫田は「市内にありながら、少し特別な時間が流れる場所」といえる地域です。 この樫田の土に、ぶどうを育てる力があるのではないか。 ノウタス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役会長:髙橋明久、以下「ノウタス」)は、九州大学熱帯農学研究センター 松元賢教授の協力のもと、大阪府高槻市樫田地区で運営する「ノウタス高槻農園」の土壌微生物解析を行い、植物の生育との関連が報告されている有用な微生物群を確認しました。 今回の解析で特に注目しているのが、「トリコデルマ菌」です。 トリコデルマ菌は、土の中に存在する有用な菌類の一種で、植物の根のまわりで働き、生育を支えたり、病気に負けにくい環境づくりに関わったりする可能性がある微生物として知られています。 ノウタスは今回、樫田の農園の土から見つかったトリコデルマ菌を培養し、その菌を接種したぶどうの苗木を、ノウタス高槻農園の農園へ植え付ける実証実験を開始しました。 樫田の土から見つかった小さな菌が、ぶどうを育てる力になるのか。松元教授の知見を受けながら、苗木がどのように根を張り、枝を伸ばし、樹として育っていくのかを、実際の農園で一つひとつ確かめていきます。 今回の取り組みは、樫田の土壌が持つ力を科学的に捉えながら、「樫田のぶどう」を高槻の未来につながる地域資産へと育てていくための一歩です。 なぜ、ノウタスが高槻・樫田でぶどうを育てるのか ノウタスが高槻・樫田でぶどう栽培に取り組む背景には、地域との縁があります。 ノウタスではこれまでも、ぶどうを軸に、栽培、育種、オンラインぶどう狩り、ぶどうの粒売り、輸出、商品開発などを組み合わせた「パープルMプロジェクト」に取り組んできました。 そのなかで、ノウタス代表の髙橋明久と取締役の村上信五は高槻に縁があり、「いつか高槻でぶどうの取り組みができたらいい」と話していました。 実際に高槻でぶどうを栽培できる場所を探すなかで知ったのが、樫田地区に残されていたぶどう畑の存在です。 樫田地区では、過去にぶどうの産地化を目指す取り組みが行われていました。しかし、2018年の台風21号による被害などをきっかけに、ぶどう畑は大きな影響を受け、大部分は耕作放棄地となっていました。 高槻市と連携協定を締結 ノウタスは、高槻市、JAたかつき、地元自治会、地域の農家の皆さまと対話を重ね、耕作放棄地を引き継いで再びぶどう栽培に取り組むことを決めました。 それは、地域に一度芽生えたぶどう産地化への思いを、もう一度未来につなぎ直す取り組みです。 今回、樫田の土壌からぶどう栽培を支える可能性のある有用な微生物群が確認されたことは、過去にこの地域で始まった挑戦を、科学の力も借りながら次の世代へつなぐための大切な一歩だと考えています。 松元教授との出会いと、トリコデルマ菌への展開 今回の取り組みにつながるきっかけのひとつは、ノウタス取締役の村上信五と、九州大学熱帯農学研究センター 松元賢教授との出会いでした。 村上信五は、ノウタスの取締役として農業・食・地域に関する取り組みに関わる一方、タレントとしても活動しています。その活動のひとつである文化放送の番組『村上信五くんと経済クン』に、松元教授がゲスト出演したことをきっかけに、ノウタスと松元教授との接点が生まれました。 同番組では、野菜が通常より大きく育つといわれる「魔法のような土」が特集され、松元教授が、土の中で起きている微生物の働きや、農業の未来につながる可能性について紹介しました。 この出会いをきっかけに、ノウタスが進めるブドウ新品種「パープルM」の栽培や、ノウタス高槻農園におけるぶどう栽培に対して、松元教授の土壌環境微生物学的な知見をもとに助言を受ける取り組みへと発展しました。 「樫田のぶどう」を高槻の地域ブランドへ ノウタスは、今回の取り組みを、樫田地区におけるぶどう栽培の発展につなげていきます。 今後は、樫田圃場でのぶどう栽培を継続しながら、土壌微生物、栽培環境、生育データ、品質評価を組み合わせて検証を進め、「樫田のぶどう」としての価値を高めていきます。 樫田を、ぶどうの栽培地としてだけでなく、人が訪れ、学び、関わり、応援したくなる場所にしていくこと。そして将来的には、高槻の農業、観光、教育、研究、地域交流にもつながる地域ブランドへと育てていくことを目指します。 九州大学熱帯農学研究センター 松元賢教授 コメント 松元賢教授 今回の取り組みは、地域の土壌が本来持っている微生物資